原発の集中立地リスク

10m津波想定せず…全国54基、電源喪失恐れ
読売新聞 3月30日(水)8時36分配信

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 全国の原子力発電所が、東日本巨大地震で発生した10メートル級の津波を想定しておらず、想定を超えた津波に襲われると福島第一原子力発電所と同様の電源喪失に陥る恐れのあることが、読売新聞社の調査でわかった。

 経済産業省は福島での事故を受けて、電力各社に対策の強化を求めるが、各社とも対応に追われている。

 大地震などの際、運転中の原子炉を安全に停止するには、炉を冷却する装置が働く必要がある。各原発は、通常の外部電源が止まった時のために非常用電源を備えるが、福島第一原発では非常用ディーゼル発電機が津波で浸水し故障した。

 読売新聞社が、全国の商業用原発54基について調べたところ、津波の想定は最高でも北海道電力泊原発(泊村)の9・8メートルで、最も低い関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)は0・74メートルだった。

 各社は、非常用電源を置く敷地が津波の想定より高いことから「安全」と判断している。

 しかし、今回の津波では、福島第一原発が想定を上回る14メートルの津波に襲われたとみられるほか、日本原子力発電東海第二発電所(茨城県東海村)と東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)も、非常用の発電機を海水で冷やすポンプや熱交換機が水没で故障し、一部が使用不能になった。



東日本大震災:福島第1原発事故 大規模電力不足 原発集中立地ツケ、問題点浮き彫り


画像 ◇東西の電気融通も限定的
 東日本大震災で被災した東京電力福島第1、第2原発の稼働停止に伴う大規模な電力不足は、原発の集中立地や、電力会社間で電力をやりとりする能力が不十分という、日本の電力制度の問題点を浮き彫りにした。政府や電力業界が問題解決を先送りしてきたツケが一気に回ってきた形だ。電力不足が深刻化する夏に向け、政府と大手電力は対応を求められるが、いずれも短期的な解決は難しい。【山本明彦】

 ■増設繰り返し

 今回の事故で福島第1、第2原発で計10基もの原発が、廃炉や長期停止を迫られるのは必至となった。一度に大量の原発を失う今回の事態について、西日本の電力会社幹部は「一部地域に原発を集中的に立地してきた副作用」と指摘する。

 原発の立地は「固い岩盤に建設するなど条件が厳しい上、住民の同意を得るのが難しい」(東電幹部)ため、立地を受け入れた地域で増設を繰り返す傾向が強い。国内では、実験炉を含めて55基の原発が立地するが、東電は福島、新潟の2県に計17基、関西電力も福井県に全11基を集中させている。この他建設・計画中の14基のうち、8基は同じ敷地内での増設だ。

 また、今回の事故では、使用済み核燃料貯蔵プールからも放射性物質が放出されたと見られ、多くの使用済み核燃料を原子炉と同じ場所で管理する是非も問われそうだ。

 国内電力各社は、使用済み核燃料は欧州や青森県六ケ所村の再処理工場などに搬出しているが、処理量に限りがあり、原発敷地内に保管したままのものも多い。電気事業連合会によると、国内の原発にたまっている使用済み核燃料は昨年9月末に1万3530トン(ウラン換算)で、前年から690トン増加、保管能力の約7割に及ぶ。

 福島第1原発では1~4号機のプールに約470トン貯蔵。核燃料は使用後も発熱を続けており、冷却できないと損傷しかねない。立地地域から使用済み核燃料対策を求める声が強まりそうだ。

 ■異なる周波数

 電力会社間で電力をやりとりする能力が限られることも、東電の電力不足を深刻化させている。日本の電力の周波数は、東日本が50ヘルツ、西日本が60ヘルツと異なるため、東西で電力を供給し合うには、周波数を変換する必要がある。東電と中部電力の境目に3カ所の変換所があるが、容量は100万キロワットで、夏場に見込まれる1000万キロワットの電力不足は到底穴埋めできない。

 東西の周波数の違いは、明治時代に東日本の電力会社がドイツ製(50ヘルツ)、西日本が米国製(60ヘルツ)の発電機を採用したのが発端。戦後、周波数統一の議論もあったが「各電力会社が自前の発電設備増強に忙殺される間に立ち消えとなった」(電力関係者)。変換所の増強には送電線の敷設などに10年程度の時間と1000億円単位の費用が必要で、「管内で発電所を増やした方が早い」(東電の藤本孝副社長)という判断も、対応を見送る要因となった。

 中部電力は今回の事態を受け、東電との境目にある3カ所の変換所の増強を加速する。5月末までに3万キロワット分増やし、さらに17万キロワット分を上乗せする計画だが、夏の電力不足には間に合わない。電力不足は長期化する可能性があり、一段の増強も検討対象となる。

……
毎日新聞 2011年3月29日 東京朝刊
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【関連記事】
●首相「津波の認識大きく間違ってた」 福島第一原発事故(asahi.com)ほか
http://sociologio.at.webry.info/201103/article_108.html
●「想定超え」津波は考慮せず=原発耐震指針の委員長―被害経験なく「責任痛感」(時事)
http://sociologio.at.webry.info/201103/article_95.html
●「日本の規制当局、原子炉のぜい弱性を軽視」(ウォールストリート・ジャーナル 3/23)
http://sociologio.at.webry.info/201103/article_90.html
●福島第1原発:東電「貞観地震」の解析軽視(毎日)ほか
http://sociologio.at.webry.info/201103/article_89.html







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ましこ
2011年04月19日 09:48
トリチウム、コバルト60が検出 次は東海村が危ない
ゲンダイネット 2011年04月18日10時00分

 東北と関東で余震が続く中、「福島原発と同じくらい危ない」とみられているのが、茨城県の東海村だ。誰もが知っている日本の原子力発電発祥の地。東海発電所は98年に営業運転を停止したが、隣接する東海第2発電所は110万キロワットの沸騰水型軽水炉として稼働してきた。
 ところが3月11日の震災で、第2発電所を津波が襲い、非常用発電機の冷却用ポンプが浸水した。そのためポンプ3台のうちの1台が停止。現在、外部電源が回復し、原子炉は冷温停止状態に落ち着いているが、甘く見てはいけない。
 マスコミが福島原発の放射能漏れに集中しているため、あまり知られていないが、3月11日夜に排水口から水が漏れていたことが判明。トリチウム、コバルト60といった放射性物質が検出されたのだ。両物質とも国の基準値の4000分の1と濃度は低く、経産省の原子力安全・保安院は環境への影響はないというが、茨城県沖・南部・北部だけで175回もの余震が起きているのだ。
 琉球大名誉教授の木村政昭氏(地震学)が言う。
「これだけ余震が集中していると、第2発電所の施設はかなりのダメージを受けていると考えられます。ただでさえ放射性物質が漏れ出す危険性が高いうえに、いま心配されているのが茨城南部と千葉北東部の地震。内陸地震で、もし起きればM6.5以上のエネルギーになりそうです。地震でもろくなった建物がさらにダメージを受けたら、福島原発のように、危険な放射性物質が漏れ出すかもしれません」
 東海村も危ない……。
(日刊ゲンダイ2011年4月15日掲載)
ましこ
2011年07月06日 14:10
東海第二原発、綱渡りの3日半 停止作業の詳細明らかに
asahi.com 2011年5月15日11時51分

 東日本大震災で被災した日本原子力発電の東海第二原発(茨城県)では、原子炉が安定的に停止している状態になるまでに3日半かかっていた。日本原電がまとめた資料でその作業の詳細が明らかになった。津波で非常用発電機の一部が停止し、炉内の水温や圧力を下げるため、綱渡りの作業が続いていた。

 日本原電によると、東海第二原発は3月11日の地震直後に停電した。このため非常用発電機3台が動き始め、非常用炉心冷却システム(2系統)が起動した。しかし地震から約30分後に高さ5.4メートルの津波が襲い、その影響で命綱の発電機のうち1台が停止。非常用炉心冷却システムも1系統が使えなくなった。

 こうした状況から冷却が十分進まず、地震から7時間後の時点で、原子炉内の水温は二百数十度、圧力は約67気圧。通常の運転時とほとんど変わらない状態だった。水温を下げるために注水すると水蒸気が発生して圧力が高まる。この圧力を下げるために水蒸気を格納容器内に逃がす弁の操作にも迫られた。

 同様に被災した東北電力女川原発(宮城県)は12日午前1時ごろに安定的な停止状態になった。しかし、東海第二原発の炉内の圧力は午前2時前でも約58気圧と高い状態だった。さらに午前3時ごろには約60気圧に再上昇。注水と逃し弁の開閉の繰り返しで、燃料が露出するようなことはなかったものの炉内の水位も70センチほど変動した。

 急激な温度変化は炉本体の損傷につながるような恐れもある。水温と圧力、水位の変動などを見極めながらの作業が続いた。…

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