世界の環境ホットニュース[GEN] 791号:無「計画停電」決定までの舞台裏(5)

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     世界の環境ホットニュース[GEN] 791号 11年3月28日
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 無「計画停電」決定までの舞台裏(5)           原田和明

「計画停電」実施の殺し文句は、「このままでは大幅な供給不足に陥り、予測
不能の大規模停電になる可能性もある」でした。しかし、大口需要家(大企業)
に使用制限をかけない、大消費エリアである23区を最初から除外するなど、表
向きの目的(需要抑制)と実際にやっていることが大きくズレていて、実効性
は甚だ疑問です。

▼一般家庭の強制停電は効果微小

東京電力の供給力に対して一般家庭の消費電力は微々たるものでした。そのこ
とを教えているのが、住友金属の火力発電所復旧のお知らせです。(以下引用)

 住友金属工業株式会社 3月26日発表

 住友金属鹿島火力発電所(IPP)再稼動のお知らせ

 鹿島製鉄所内にある住友金属 鹿島火力発電所(IPP)が、昨日16時58分に発
 電を再開し、本日午前0時57分に100%稼動送電(47.5万kW)を達成しました。
 これは茨城県のすべての家庭の電力需要を賄える規模に相当します。同発電
 所の電力はすべて東京電力殿に供給いたします。当社は、電力供給は震災復
 興に不可欠だとの認識のもと、同発電所設備の補修に全力を挙げて取り組み、
 一日も早い復旧を目指してきました。(引用終わり)

震災後の東京電力の供給能力は3500万kW程度でした。それに対し、茨城県内の
一般家庭の電力総需要はわずか50万kWとのことです。世帯あたりの方が精度が
高いでしょうが、とりあえず一人あたりの電力消費量を同じだと仮定して、東
京電力管内の一般家庭の電力需要を推計してみます。2010年の人口は次の通り
です。

 山梨県   86万人
 群馬県  201万人
 栃木県  201万人
 茨城県  297万人→50万kW
 静岡県  377万人
   (以上5県の人口1200万人→電力需要200万kW)
 千葉県  622万人
 埼玉県  720万人
 神奈川県 905万人
 東京都  1316万人
   (以上4都県の人口3600万人→電力需要600万kW)

一般家庭の電力総需要は800万kW(23%)にすぎません。これを5グループにわ
けて停電を強制した場合、23区も含めても節電効果は160万kW に留まります。
一方、大企業に使用制限をかけた場合、オイルショックのときの実績で15%の
節電効果が確認されていますから、この時期の需要量を4000万kW とした場合、
それだけで600万kWの節電効果が期待されるのです。

本当に節電を目的にしているならば、600万kW の節電が期待できる「需給調整
契約の発動」の方がはるかに有効な方策だったといえます。

▼なぜ23区は除外されたのか?

大口需要家(大企業)とともに、23区が除外された理由も判然としません。と
りあえず、菅首相には「首都機能維持を理由に、東京23区は除外する可能性も
ある」(毎日新聞 2011年3月13日 20時15分)と 説明されていました。「首都
機能」とは一体何を指しているのかはっきりしませんでしたが、その後、藤本
副社長は「東京23区は人口が密集し、信号機やエレベーターも多い」と説明し
ています。(リアルライブ2011年03月22日 11時45分より以下引用)

 居住エリアでの不公平で不満が渦巻いている。この計画停電は、1都8県で実
 施されているが、東京23区が特例的な扱いを受けているのだ。

 東京23区では広域で実施されている足立区を除くと、ほぼ免除。実施エリア
 は日ごとに変更されているが、19日19時に発表された資料によると、足立区
 以外の22区で対象エリアとなっているのは、板橋区の成増1~5丁目、三園2
 丁目、赤塚新町1~3丁目、赤塚2~5丁目。荒川区の町屋1~8丁目、東尾久7、
 8丁目。練馬区の旭町2、3丁目という 限られた地域のみ。実質、足立区以外
 の22区は計画停電の対象からはずされている。

 これに関し、東京電力では公式な見解を示していない。「オフィス街で停電
 させると、経済活動に支障が出るから」との意見もあるが、明らかにオフィ
 ス街ではない区まで除外されているのが実情。(中略)明らかに不公平感が
 漂う計画停電。東京電力はどういう基準で対象エリアを決めているのか、説
 明責任があるはずだ。(引用終わり)

例外扱いで停電免除だった「東京23区」にも例外があり、足立区は23区のひと
つなのに、「停電特区」からほぼ唯一除外されていました。この疑問を足立、
荒川両区長が東電に直接ぶつけています。(2011年3月23日 10時23分 読売新
聞より以下引用)

 23区で荒川・足立だけ停電は不公平…区長抗議

 東京都荒川区の西川太一郎、足立区の近藤弥生の両区長は22日夜、計画停電
 の対象地域を23区で両区だけに限定した東京電力に対し、その理由説明や、
 国民が広く公平に負担するよう計画の再検討を緊急要請した。(中略)

 要請書は「電力需要抑制のためには停電の対象を広くするのが合理的で公平
 なのに、対象地域を狭め、場合によっては1日6時間の停電を強いることは誠
 に遺憾」などと抗議。一方で、被災地が厳しい状況であることや、大規模停
 電を回避するには計画停電は必要で協力するともしている。(中略)荒川区
 停電対象は約9万5000世帯のうち約1万世帯。足立は約30万世帯のうち約10万
 世帯。これまでに荒川で4回、足立区で7回、停電が実施された。(引用終わ
 り)

東京電力は両区からの質問に答えませんでした。さらに停電エリアの説明は本
社と支社でバラバラで、組織としての体をなしていないことをうかがわせます。
このドタバタぶりからしても、「計画停電」の無計画性は明らかです。(東京
新聞2011年3月24日朝刊より以下引用)

 計画停電 東電内部で情報混乱 荒川、足立区「公平」要請

 二十三区内で計画停電対象地域の荒川区と足立区が計画停電の「公平性の配
 慮」を東京電力へ要請した問題で、両区は二十三日、東電からの回答文書の
 受け取りを拒否した。計画停電の情報をめぐり、「本社と地元支社とで食い
 違っており、混乱を招いている」(荒川区)ことが、両区の不満を増幅させ
 ている。

 両区は二十二日、停電区域を限定した理由の説明や区域見直しを東電に求め
 たが、回答文書には言及がなかったという。このため、「要請内容に答えて
 いない」(足立区)として、両区長が近く東電本社を訪れ、あらためて回答
 を求める。

 荒川区の西川太一郎区長は当初、東電が「二十三区では荒川区を除き実施し
 ない」と発表したことをテレビ報道で知った。同社上野支社長に説明を求め
 たところ「対象は八区」と回答したという。

 だが、十五日には東電副社長が「二十三区は対象にしない」と発言。一方で
 同区には上野支社から「十六日午前七時から停電」との情報が入り、実際、
 荒川、足立を含む四区で初めて停電した。(引用終わり)

足立区と荒川区が振り回されている状況がよくわかります。それにしても、海
江田万里経済産業相の対策はトホホな内容ではありますが、藤本孝副社長は大
臣の要望を無視するほど強気なのはなぜでしょう? 藤本孝副社長の言い訳も
見苦しく、そんなに強気でいられる理由がわかりません。(リアルライブ2011
年03月24日 15時30分より以下引用)

 『東京電力が足立区・荒川区の要望を一蹴』 東京23区4月中の計画停電無し

 足立区荒川区を除く東京23区は、計画停電エリアから除外されている。
 両区の訴えに、監督官庁の海江田万里経済産業相は 3月23日『不公平があっ
 てはいけない。23区の住宅を対象に追加できないか考えている』と語る。
 ところが、同日、東京電力は要望を無視。
 4月末まで続く計画停電について、藤本孝副社長は『今から追加するのは、
 むしろ大変』
 23区を対象エリアからはずしている理由について、『東京23区は人口が密集
 し、信号機やエレベーターも多い』と言い訳した。
 冷房の利用などで電力需要が上がる夏場の計画停電では、『23区にもエリア
 を拡大せざるを えない』としたが、その場合も 千代田、中央、港の 3区は
 『国の中枢機関が多く、停電は無理』として、対象外との差別待遇。
 今回要請は東電に無視され無駄になったが足立、荒川が抗議しなければ、夏
 場も23区は除外された可能性が高く、その意味で両区の行動は決して無意味
 ではなかった。
 両区はこの回答に対し、『納得がいかない』と東京電力本社に再度抗議する
 模様である。(引用終わり)

「(夏場には)23区にもエリアを拡大せざるをえない」というのも、その場限
りの言い逃れでしょう。千代田、中央、港の 3区は対象外とすると、新宿区に
ある東京都庁はどうなるのでしょうか? 都庁が停電で業務停止した日の夜に、
東京ドームではナイターをやっているということもありうるのでしょうか?
もっとも東京ドームは文京区だからそのときは、空気圧によって天井を膨らま
せている東京ドームも停電ありということですが。(毎日新聞 2011年3月16日
21時05分より以下引用)

 「予定通り開幕」を強く主張する巨人は16日、清武英利球団代表が選手らと
 話し合い、25日開幕に理解を求めた。清武代表は「野球選手ができるのは野
 球。セ・リーグはできる可能性があるのだから、25日で準備しようというこ
 と」と説明。計画停電が実施されている中での開催については、「(停電の
 範囲外は)やってもいいということ。経済活動はやめるべきではない」と主
 張。(引用終わり)

▼東京電力でお家騒動勃発?

東京電力が主導しているかのように報道されている「計画停電」ですが、この
件に関するコメントは最初からすべて藤本孝副社長のもので、清水正孝社長は
姿が見えなくなっていました。(毎日新聞 2011年3月12日 23時02分より 以
下引用)

 東京電力は12日(※午後7時)、東日本大震災で発電所停止が相次ぎ 電力需
 給の逼迫(ひっぱく)が予想されることから、週明けの14日以降、供給区域
 で3時間ずつ順番に 電力供給を止める「輪番停電」を実施する方向で検討し
 ていることを明らかにした。13日は休日で電力需要が少ないため通常通り供
 給するという。東電の藤本孝副社長は会見で「輪番停電は恐らく創業以来初
 めての措置」と説明。「輪番停電は最低でも1週間続く」との 見通しを示し
 た。(引用終わり)

この会見には清水社長はいません。東京電力が「需給調整契約の発動」を大口
需要家に呼びかけ始めていたと報道されたのは3月12日未明でした。ところが、
その日の夜の会見には藤本孝副社長が「輪番停電」を発表。清水正孝社長がマ
スコミの前に姿を現したのは3月13日20時20分でした。(日経ビジネス オンラ
イン3月18日「 東電本社密着ルポ・原発危機24時-露呈した情報発信不足と連
携不足」より以下引用)

 大地震以降、東京電力の清水正孝社長がはじめてメディアの前に姿を表した。
 カメラのフラッシュが激しく清水社長を照らす。会見の冒頭、清水社長は用
 意されたメモを読み上げ、謝罪した。「想定を超える津波だった。たいへん
 申し訳ない」。清水社長は会見中、一点を見つめたまま。会見が進むにつれ
 て少ない情報と、はっきりしない回答に報道陣は苛立ちを強めていった。

 およそ2時間後に、清水社長は会見を終えて 退席しようとしたが、記者たち
 が清水社長を取り囲み、質問を繰り返す。もっと説明してほしいと感じる記
 者が多かったからだろう。この会見で発表した計画停電の件にも、東電内の
 混乱ぶりが透けて見えた。翌日の計画停電について説明したものの、急ぎで
 作ったためなのか資料に不備が散見された。(引用終わり)

以上の状況から、福島原発の爆発事故を機に、東京電力社内でお家騒動が勃発
したのではないかと推測されます。藤本孝副社長が「輪番停電」を主張する一
派と手を結び、クーデターを実行。清水社長は情報のないまま形式上の謝罪会
見をセットされたのちは幽閉状態に置かれていたものと思われます。やっと清
水社長の所在が明らかとなりましたが、クーデター派は改めて記者会見をセッ
トして、原発事故で引責辞任確実の清水社長に計画停電の混乱の責任まで負わ
せる魂胆ではないかと推測されます。(毎日新聞 3月28日(月)2時30分 配信よ
り以下引用)

 東京電力 1週間もトップ不在 清水社長の体調不良

 東京電力の清水正孝社長(66)が福島第1原発事故発生後の今月16日から約1
 週間、体調不良で職務を離れていたことが27日、明らかになった。過労が原
 因で、最終の意思決定は担当副社長が代行する状態が続いていた。現在は回
 復して職務に復帰しており、今後開く会見で事故や計画停電について改めて
 謝罪する方向で調整している。

 東電は地震発生の11日に清水氏をトップとする対策本部を設置。15日には菅
 直人首相を本部長とする政府と東電の統合対策本部が設置され、清水氏は海
 江田万里経済産業相とともに副本部長に就き、「2人で 同時に情報を受けて
 一体となって対応する」(枝野幸男官房長官)ことになっていた。

 関係者によると、清水氏は震災後ほぼ不眠不休で対応に追われ、体調を崩し
 た。入院はせずに東電本店で医師の治療を受けていたが、その間、原発事故
 対応は原子力担当の武藤栄副社長、計画停電の運用は藤本孝副社長がそれぞ
 れ陣頭指揮を執った。東電広報部は「(清水氏は)対策本部は離れたが、本
 店内で情報収集し、指示を出していた」と説明しているが、実際には「ほぼ
 寝たきりの安静状態」(東電幹部)で、実質的にトップ不在の状態だった。

 原発事故や計画停電の対応を巡っては、関係閣僚が頻繁に会見を開く一方、
 清水社長が公の場に姿を見せたのは計画停電の実施を発表した13日の会見の
 み。原子力事故の国際評価尺度でレベル5とされた際も「極めて 重く受け止
 めている」との談話を発表するにとどめており、社長が説明責任を果たして
 いないとの批判も出ていた。(引用終わり)

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【引用おわり】


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ましこ
2011年03月30日 19:59
東電の清水社長、昨晩入院=高血圧で体調崩す
時事通信 3月30日(水)15時2分配信
 東京電力は30日、清水正孝社長が29日夜に本社内で体調を崩し、都内の病院に入院したと発表した。同社によると「かなりの高血圧と極度のめまい」(広報担当者)で、自動車で病院に向かい、そのまま入院した。意識ははっきりしているという。清水社長は、東日本大震災の福島第1原発事故を受け、本社の「福島原発事故対策統合連絡本部」に常駐して対応を指揮しており、疲労が蓄積したとみられる。16日から数日の間も過労で本部を離れていた。
 これに関連して、勝俣恒久会長が30日午後に記者会見を開く。 
ましこ
2011年04月03日 18:49
日本、原子力発電不足分補う石油火力発電の余剰ある=IEA
2011年 03月 15日 23:07
 [ロンドン 15日 ロイター] 東日本大震災に伴う原発事故を受けて、国際エネルギー機関(IEA)は15日、日本は原子力発電の不足分を補うだけの十分な石油火力発電による余剰能力を有している、との見解を示した。

 IEAは月次報告書で「実際には、液化天然ガス(LNG)および石炭も使用することで需要に対応できる可能性が高いが、LNG、石炭の両セクターにおいては余剰発電能力がより限定的であるようだ」と指摘している。

 IEAの推計によると、日本は2009年に石油火力発電能力の30%しか使用しておらず、平均で日量36万バレルの原油・燃料油を使用し、100テラワット時余りの電力を生産した。

 IEAはまた「60テラワット時の不足分すべてを石油火力発電で補った場合、石油消費量は年間ベースで日量約20万バレル増加する見通し」としている。
ましこ
2011年04月05日 17:44
早期補償へ、政府と協議=清水社長「遠からず復帰」―福島原発事故で・東電副社長
時事通信 4月5日(火)15時18分配信

 東京電力の藤本孝副社長は5日、東日本大震災で被災した福島第1原発の放射能漏れ事故による周辺住民らへの被害賠償について「できるだけ早く進めたい」と述べ、可能な限り早急に対応する考えを表明した。補償内容は未定としているが、原子力損害賠償法(原賠法)に基づき国と分担する補償割合などを「現在、協議している」と語り、政府と具体的な調整に入ったことを明らかにした。
 体調不良で先月29日に入院した清水正孝社長については、「遠からず(職務に)復帰すると聞いている」と語った。 
ましこ
2011年04月07日 18:44
東電の清水社長が職場に復帰
NHK 4月7日 14時47分
体調不良のため入院していた東京電力の清水正孝社長は、7日から職場に復帰し、福島第一原子力発電所の事故などの対応に当たっていることが分かりました。
東京電力の清水正孝社長は、高血圧やめまいなどのため先月29日に入院し、福島第一原子力発電所の事故や計画停電などに対応する業務から外れていました。東京電力によりますと、清水社長は、体調が回復したとして7日から職場に復帰し、再び対策本部で事故の対応などに当たっているということです。清水社長が入院したあと、東京電力では、勝俣恒久会長が、政府と東京電力が合同で立ち上げた福島第一原発の事故についての「統合対策本部」の副本部長を清水社長に代わって務めています。

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