世界の環境ホットニュース[GEN] 805号:無「計画停電」決定までの舞台裏(18)
http://archive.mag2.com/0000083496/20110526191318000.html
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世界の環境ホットニュース[GEN] 805号 11年5月26日
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無「計画停電」決定までの舞台裏(18)
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無「計画停電」決定までの舞台裏(18) 原田和明
連載の第2回で、大震災 以降の東京電力株の暴落について取り上げ、福島原発
事故のどさくさに紛れて東京電力が外資に乗っ取られたのではないか? 計画
停電という 無謀な政策は 首都圏のライフラインを外資に牛耳られる手助けに
なっていないかと書きました。するとその後、読者の方から「東京電力の筆頭
株主はすでに外資」とのご指摘をいただきました。ところがこの件は「空売り」
だったと 見られます。そして、今回の東日本 大震災でも「空売り」の痕跡が
確認されました。
▼エネルギー業界に「黒船襲来」
読者の方から教えていただいた記事は週刊ダイヤモンド2007年11月16日号です。
(以下引用)
東京電力の筆頭株主に突如、耳慣れない外資系ファンドが躍り出た。その名
はアライアンス・バーンスタイン。富士通などにも投資する米国系ファンド
で、村上ファンドのように 積極的に 増配などを要求する「アクティビスト
(※もの言う株主)」ではないと見られる。
だが、電力業界の盟主である東京電力の筆頭株主に、外資系ファンドが登場
したことで 憂慮する声も 上がっている。「とうとう 来るものが来たか」。
東京電力のある関係者は率直な感想を漏らした。今年に入り、外資系の投資
ファンドや外国政府が運営する国家ファンドによる日本のエネルギー銘柄へ
の投資が進んでいる。
電力卸最大手のJ-POWER(※「電源開発」)に対しては英国系ファンドのTCI
(※「ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド」)が 9.9%を投資
する筆頭株主となり、配当を 2倍以上に引き上げる増配要求を行なった。石
油元売り大手の コスモ石油はアラブ首長国連邦(UAE)・アブダビの政府系
投資機関が20%を出資する筆頭株主となった。
相次いで外資系ファンドが日本のエネルギー銘柄に投資するのは、世界的な
資源高を背景としたエネルギー関連銘柄への期待が高く、同時に規制に守ら
れた業種であり投資対象としての うまみが 大きいからだ。特に電力会社は
自由化が進んだとはいえ、いまだに地域独占体制が根強く残っており、それ
だけ収益改善の余地は大きい。
また、原油や ガスなど 資源国の国家ファンドにとっては、安定的な市場の
確保という側面もある。エネルギーの消費大国としての日本市場を押さえて
おきたいと考えるのは不思議ではない。過去、アライアンスが極端な要求を
行なった 事例はなく、まだ安心と いえるが、国家ファンドや国家の関与が
濃いファンドとなれば話は違うかもしれない。
中津孝司・大阪商業大学 教授は「今後、国家ファンドが 電力会社に食指を
動かしてくる可能性が 高い。今回の事態は その素地をつくってしまった。
国家のエネルギー安全保障を外国に握られることになれば一大事だ」と警告
を発する。ちなみに、中津氏はその最有力候補として世界最大のガス会社・
ロシアのガスプロムを想定する。
外国為替法では、国家の安全や秩序維持を妨げる場合、外資による電力会社
株の10% 以上の保有を中止させることが できる。そのため東京電力幹部の
危機感は まだ低いが、資源を楯に 国家ファンドが乗り込もうとしたとき、
本当に抑止力を持つのか。こうした事態を想定し真剣に議論を始める時期が
きている。(引用終わり)
このニュースが流れた2007年11月は、自民党・福田康夫内閣のときで、この夏
の参議院選挙で小沢一郎率いる民主党が大勝、政権交代が現実のものとなろう
とした時期にあたります。特に11月は 福田康夫・小沢一郎が 直談判で大連立
構想が突如急浮上。民主党内の反対にあって小沢が代表を辞任する、しないで
もめていた頃です。そんな時期に、聞きなれない外資が東京電力の筆頭株主に
なっていたなんてまったく知りませんでした。
アライアンス・バーンスタイン社は 名前の通り、アライアンス社(米国 資産
運用業界で10位、運用資産3900億ドル=約42兆円)とバーンスタイン社(同45
位。運用資産800億ドル=約9兆円)が合併したものです。野村資本市場研究所
「2000年研究レポート」によれば、この合併は「グロース(成長株)」と「ハ
イテク株」の高成長を遂げてきたアライアンス社が「グロース・ハイテク相場」
の終焉を迎えて、「バリュー(割安株)回帰」の風潮が高まる中で、バリュー
分野で高い評価を得ているバーンスタインを買収して、いち早く手当てを行な
った、と見られています。
▼消えた大株主
ところで、東京電力の決算書によると、2007年度版に大株主の10位までにアラ
イアンス・バーンスタイン社の名前はありません。そのため、同社が買い付け
た東京電力株はおそらく「空売り」の買戻しだったのではないかと推測されま
す。同社が「アクティビストではないと見られる」とのダイヤモンド社の分析
から考えても、東京電力の 筆頭株主になって 高額な配当を要求することでは
なかったと見られます。
「株の空売り」とは何でしょうか? WEB金融新聞より以下引用します。
株の空売りとは、証券会社から 株を借りて 売却し、その株が値下がりした
時点で買い戻す事で利益を得る投資方法の事です。例を挙げて説明すると、
現在10万円のA社の株を借り、その場で売却すれば10万円が手に入りますよ
ね。その後A社株が9万円に値下がりした時に、再び買い戻せば、費用は9万
円で済みます。これで 借りていた株を返却すれば、差し引き1万円の利益が
手に入ります(別途手数料等が必要)。つまり空売りで儲けを出す為には、
通常とは逆に「将来値下がりしそうな株」をあえて狙う事になります。(引
用終わり)
「通常とは逆に『将来値下がりしそうな株』をあえて狙う事」が空売りのポイ
ントで、実際このときも東京電力の株価は1000円を超える急落となっていまし
た。このときの取引が「空売り」の買い戻しだったなら、なぜアライアンス・
バーンスタイン社は 東京電力株が 急落することを知っていたのか が問題で、
インサイダー取引だった疑いも出てきます。
アライアンス・バーンスタイン社がこのとき取得した株数は週刊ダイヤモンド
では触れられていませんが、発行済み株式数の5.5%でした。(FACTA online
2008年1月30日「阿部重夫・シンジケートコラム」)東電の株式数は 16億株な
ので、アライアンス・バーンスタイン社はこのとき 約9千万株を取得したこと
になります。
ヤフーファイナンスによると、東京電力の株価は 2007年春に 4000円を超えて
いますが、8月には3000円まで急落しています。アライアンス・バーンスタイン
社は 最高値のタイミングで東京電力株9千万株を空売りし、株価急落のタイミ
ングで空売りした 9000万株を買い戻したとしたら、差額は1000円強ですから、
わずか 3ヶ月余で1000億円近い利益を上げたことになります。何の情報もなし
にこんな博打に出たとは 考えられません。しかし2007年度末での 筆頭株主で
ある日本トラスティ・サービス信託銀行でも7700万株しかもっていません。同
社はどこから9000万株もの株を入手できたのでしょうか?
東京電力株は「東証・大証両取引所にて貸借銘柄指定」になっています。つま
り、投資家は大株主から直接東電株を借りなくても、証券金融会社から東京電
力株9000万株を借りて、東証でも大証でもそれを「空売り」できたというわけ
です。もし、「貸借銘柄指定」になっていなければ、個別の株主から借りなけ
れば「空売り」はできません。(利用制限枠があるが、上場株式数の10%以上
なので、今回の5.5%は 問題なし)ただし、9000万株がいつ市場で売買された
のか、出来高からはそのタイミングを特定することはできませんでした。
▼「空売り」と大地震
ところで、2007年夏の東京電力株暴落の原因は何だったのでしょうか?
2007年(平成19年)7月16日10時13分、新潟県 中越地方沖を震源とするマグニ
チュード6.8の地震が発生。東京電力柏崎刈羽原子力発電所でも最大の揺れ993
ガルを記録し、3号機横の変圧器が 火災を起こしただけでなく、周辺の送電鉄
塔が倒壊。発電所内が完全停電(ステーション・ブラックアウト)寸前の状態
でした。(ウィキペディア「柏崎刈羽原子力発電所」)
まさに、今回の福島第一と同じ事態がこのとき起きていたかもしれないのです。
このときの恐怖を広瀬隆は次のように記しています。(DAYS Japan2011年1月号
より以下引用)
東海大地震で浜岡原発の発電所内の電気の配線が切れてしまわないかという
不安は、新潟県中越沖地震の際、柏崎刈羽原発で現実のものとなった。この
地震では、一帯の送電線がすでに地震で遮断され、停電になってしまったの
だ。そのうち原発への送電が「奇跡的にかろうじて生きていた」ため、幸運
にも送電することができた。これは偶然による幸運としか言いようがない。
所内では、3号機の 変圧器の 地盤が 大沈下して、変圧器が火災を起こして
しまったので、これも外部からの送電不能の状態にあった。
緊急時に最後の頼みの綱となるのは非常用ディーゼル発電機だが、この地震
では非常用 発電機用の 燃料タンク周辺の 土地も陥没していたのだ。もし、
非常用ディーゼル発電機が起動しなければ、そしてそのような事態に対する
バックアップ機能がひとつでも地震のために働かなければ、北陸地方は廃墟
になっていたのである。(引用終わり)
政府も東電も今回の地震、津波を「想定外」と言っていますが、想定外どころ
か、ほとんど同じ状況が現実に4年前の新潟で起きていました。
2007年秋の アライアンス・バーンスタイン社による 東京電力株の大量買付け
事件は、「株の空売り→大地震→原発事故(株価暴落)→株の買戻し(ボロ儲
け)」というパターンだったということになります。そして空売りのポイント
は何度も書きますが「通常とは逆に『将来値下がりしそうな株』をあえて狙う
事」です。すると、アライアンス・バーンスタイン社は中越沖地震を予知して
いた?
まさか・・・、今回の東日本大震災では「人工地震」とか「地震兵器が使われ
た」とのウワサがネット上で流れてはいましたが・・・。アライアンス・バー
ンスタイン社が、何か東電株が暴落するネタ(インサイダー情報)をつかんで
空売りを仕掛けたところにたまたま大地震が起きて、刈羽原発がメルトダウン
寸前まで行ってしまったというふうに考えるしかありません。
しかし、2007年に東京電力が認めた不祥事(隠蔽工作)は次の 2点で、この時
には株価に変動はみられません。原発事故以外に「将来値下がり確実なネタ」
は見当たらないのです。
2007年1月31日
柏崎刈羽原発1号機で、ECCS の故障偽装など定期検査時の不正が常態化して
いた事実を認める。
2007年4月6日
福島第二原発4号機で、制御棒駆動装置の不正交換を偽装した事実を認める。
2008年1月14日
福島第二原発3・4号機廃棄物処理建屋の、海水ポンプの配管や電動機などが
破損。
(「週刊金曜日 840号 2011年3月25日発売」 より)
▼2匹目のドジョウ?
ところで、恐ろしいことに、今回の東日本大震災、福島原発危機にも東京電力
株の大量空売りがセットになっていた形跡があります。産経ビズ(2011年4月5
日20:28)より以下引用。
福島第1原発事故を受けて5日に上場来安値に並んだ東京電力株。「一時国有化」
への観測も飛び交う中で、東京電力株をまとめて買った投資家がいる。その正
体は?(夕刊フジ)
福島第1原発の水素爆発や放射能漏れなどが報じられるたびに 東電株は売ら
れ、震災前の3月10日終値が2153円だったのが、4月5日には一時、393円を付
け、1951年の上場来安値に並んだ。
大半の投資家が 売り姿勢の中で、東電株を 大量に購入した投資家の存在が
市場で話題となった。3日連続ストップ安となった3月31日に約4000万株、金
額にして約185億円の商いが成立している。「ほとんど一投資家のまとまっ
た買い」(大手証券ディーラー)だという。
「落ちてくるナイフを素手でつかむようなこうしたリスクの大きい注文は、
ヘッジファンドの短期売買の典型的な手口」(外資系証券トレーダー)との
声も聞かれる。値動きが大きい銘柄に対して巨額の資金を投じ、一気に利益
を稼ぐという手法だ。
その一方で、中国の存在を指摘する向きもある。東電株の約1.30%を保有し
て上位株主に 名を連ねる「SSBT OD05 OMNIBUS ACOUNT TREATY CLIENTS」な
るファンドだ。株式市場関係者の間では、実態は中国の政府系とみられてい
る。
「電力株は 外国人投資家の 保有規制があるため、買収目的は 考えにくい」
(前出の銀行系証券)とはいうものの、暴落局面で“逆張り”を行って買い
増したのでは、という推測をする市場関係者もいる。誰もが手を出さない時
こそ大もうけのチャンスということか。(引用終わり)
記事では、買い手が誰だかわかりませんし、中国系ファンドの関与説には何も
根拠が書かれていません。東電株の 大量購入日が「3月31日」だったことから
しても、今回も「空売り」の買戻しだった可能性が 高いと考えられます。4千
万株というところがミソで、発行株数の5%以上売買の場合、大量 保有報告書
の提出が義務付けられているのですが、今回は3%にすぎず、氏名は 公表され
ません。一方、空売りの買戻しでなかったならば、4千万株は東電では第6位の
大株主ですからいずれ決算書に大株主として実名が明らかになります。
今回の取引が 空売りだった場合、2010年秋に2500円で4千万株空売りしていれ
ば、3月末に 約185億円で買い戻しても、1千億円近い売却益を手にしたことに
なります。空売りの買戻しならば、「落ちてくるナイフを素手でつかむような
リスク」は何もありません。年度末だから戻した、それだけのことです。
今回の東日本大震災といい、4年前の新潟 中越沖地震といい、東京電力の原発
で大事故が起きることを見越したように、東電株の空売りで 2度も濡れ手で粟
の大儲けが続くとなると、「ひょっとして・・・原発事故を予見していた?」
と思ってしまいそうなほどのタイミングのよさです。
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---------------【引用おわり】---------------
●世界の環境ホットニュース[GEN] 804号:無「計画停電」決定までの舞台裏(17)
http://sociologio.at.webry.info/201105/article_8.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 803号:無「計画停電」決定までの舞台裏(16)
http://sociologio.at.webry.info/201104/article_137.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 801号:無「計画停電」決定までの舞台裏(15)
http://sociologio.at.webry.info/201104/article_129.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 801号:無「計画停電」決定までの舞台裏(14)
http://sociologio.at.webry.info/201104/article_128.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 799号:無「計画停電」決定までの舞台裏(13)
http://sociologio.at.webry.info/201104/article_101.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 798号:無「計画停電」決定までの舞台裏(12)
http://sociologio.at.webry.info/201104/article_92.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 797号:無「計画停電」決定までの舞台裏(11)
http://sociologio.at.webry.info/201104/article_78.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 796号:無「計画停電」決定までの舞台裏(10)
http://sociologio.at.webry.info/201104/article_44.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 795号:無「計画停電」決定までの舞台裏(9)
http://sociologio.at.webry.info/201104/article_42.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 794号:無「計画停電」決定までの舞台裏(8)
http://sociologio.at.webry.info/201104/article_25.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 793号:無「計画停電」決定までの舞台裏(7)
http://sociologio.at.webry.info/201104/article_5.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 792号:無「計画停電」決定までの舞台裏(6)
http://sociologio.at.webry.info/201103/article_110.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 790号:無「計画停電」決定までの舞台裏(5)
http://sociologio.at.webry.info/201103/article_98.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 790号:無「計画停電」決定までの舞台裏(4)
http://sociologio.at.webry.info/201103/article_88.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 789号:無「計画停電」決定までの舞台裏(3)
http://sociologio.at.webry.info/201103/article_72.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 788号:無「計画停電」決定までの舞台裏(2)
http://sociologio.at.webry.info/201103/article_66.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 787号:無「計画停電」決定までの舞台裏(1)
http://sociologio.at.webry.info/201103/article_55.html
●「東日本大震災:生活必需品の品薄広がる 計画停電が拍車」(毎日)
http://sociologio.at.webry.info/201103/article_44.html
●計画停電と非正規と原発ジプシー(ここヘンJAPAN)
http://sociologio.at.webry.info/201104/article_52.html
●八田達夫「送電網は新規事業者に開放を 原発は政府が管理すべき」in『週刊東洋経済』(田中秀臣)
http://sociologio.at.webry.info/201104/article_71.html
●鈴木耕「原発、「負の世界遺産」と「負の人材たち」、 そして、怒りを語ることの意味」
http://sociologio.at.webry.info/201104/article_47.html
●上杉隆氏ら自由報道協会による「原発事故」取材の報告…ほか(asyura)
http://sociologio.at.webry.info/201104/article_87.html
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世界の環境ホットニュース[GEN] 805号 11年5月26日
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無「計画停電」決定までの舞台裏(18)
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無「計画停電」決定までの舞台裏(18) 原田和明
連載の第2回で、大震災 以降の東京電力株の暴落について取り上げ、福島原発
事故のどさくさに紛れて東京電力が外資に乗っ取られたのではないか? 計画
停電という 無謀な政策は 首都圏のライフラインを外資に牛耳られる手助けに
なっていないかと書きました。するとその後、読者の方から「東京電力の筆頭
株主はすでに外資」とのご指摘をいただきました。ところがこの件は「空売り」
だったと 見られます。そして、今回の東日本 大震災でも「空売り」の痕跡が
確認されました。
▼エネルギー業界に「黒船襲来」
読者の方から教えていただいた記事は週刊ダイヤモンド2007年11月16日号です。
(以下引用)
東京電力の筆頭株主に突如、耳慣れない外資系ファンドが躍り出た。その名
はアライアンス・バーンスタイン。富士通などにも投資する米国系ファンド
で、村上ファンドのように 積極的に 増配などを要求する「アクティビスト
(※もの言う株主)」ではないと見られる。
だが、電力業界の盟主である東京電力の筆頭株主に、外資系ファンドが登場
したことで 憂慮する声も 上がっている。「とうとう 来るものが来たか」。
東京電力のある関係者は率直な感想を漏らした。今年に入り、外資系の投資
ファンドや外国政府が運営する国家ファンドによる日本のエネルギー銘柄へ
の投資が進んでいる。
電力卸最大手のJ-POWER(※「電源開発」)に対しては英国系ファンドのTCI
(※「ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド」)が 9.9%を投資
する筆頭株主となり、配当を 2倍以上に引き上げる増配要求を行なった。石
油元売り大手の コスモ石油はアラブ首長国連邦(UAE)・アブダビの政府系
投資機関が20%を出資する筆頭株主となった。
相次いで外資系ファンドが日本のエネルギー銘柄に投資するのは、世界的な
資源高を背景としたエネルギー関連銘柄への期待が高く、同時に規制に守ら
れた業種であり投資対象としての うまみが 大きいからだ。特に電力会社は
自由化が進んだとはいえ、いまだに地域独占体制が根強く残っており、それ
だけ収益改善の余地は大きい。
また、原油や ガスなど 資源国の国家ファンドにとっては、安定的な市場の
確保という側面もある。エネルギーの消費大国としての日本市場を押さえて
おきたいと考えるのは不思議ではない。過去、アライアンスが極端な要求を
行なった 事例はなく、まだ安心と いえるが、国家ファンドや国家の関与が
濃いファンドとなれば話は違うかもしれない。
中津孝司・大阪商業大学 教授は「今後、国家ファンドが 電力会社に食指を
動かしてくる可能性が 高い。今回の事態は その素地をつくってしまった。
国家のエネルギー安全保障を外国に握られることになれば一大事だ」と警告
を発する。ちなみに、中津氏はその最有力候補として世界最大のガス会社・
ロシアのガスプロムを想定する。
外国為替法では、国家の安全や秩序維持を妨げる場合、外資による電力会社
株の10% 以上の保有を中止させることが できる。そのため東京電力幹部の
危機感は まだ低いが、資源を楯に 国家ファンドが乗り込もうとしたとき、
本当に抑止力を持つのか。こうした事態を想定し真剣に議論を始める時期が
きている。(引用終わり)
このニュースが流れた2007年11月は、自民党・福田康夫内閣のときで、この夏
の参議院選挙で小沢一郎率いる民主党が大勝、政権交代が現実のものとなろう
とした時期にあたります。特に11月は 福田康夫・小沢一郎が 直談判で大連立
構想が突如急浮上。民主党内の反対にあって小沢が代表を辞任する、しないで
もめていた頃です。そんな時期に、聞きなれない外資が東京電力の筆頭株主に
なっていたなんてまったく知りませんでした。
アライアンス・バーンスタイン社は 名前の通り、アライアンス社(米国 資産
運用業界で10位、運用資産3900億ドル=約42兆円)とバーンスタイン社(同45
位。運用資産800億ドル=約9兆円)が合併したものです。野村資本市場研究所
「2000年研究レポート」によれば、この合併は「グロース(成長株)」と「ハ
イテク株」の高成長を遂げてきたアライアンス社が「グロース・ハイテク相場」
の終焉を迎えて、「バリュー(割安株)回帰」の風潮が高まる中で、バリュー
分野で高い評価を得ているバーンスタインを買収して、いち早く手当てを行な
った、と見られています。
▼消えた大株主
ところで、東京電力の決算書によると、2007年度版に大株主の10位までにアラ
イアンス・バーンスタイン社の名前はありません。そのため、同社が買い付け
た東京電力株はおそらく「空売り」の買戻しだったのではないかと推測されま
す。同社が「アクティビストではないと見られる」とのダイヤモンド社の分析
から考えても、東京電力の 筆頭株主になって 高額な配当を要求することでは
なかったと見られます。
「株の空売り」とは何でしょうか? WEB金融新聞より以下引用します。
株の空売りとは、証券会社から 株を借りて 売却し、その株が値下がりした
時点で買い戻す事で利益を得る投資方法の事です。例を挙げて説明すると、
現在10万円のA社の株を借り、その場で売却すれば10万円が手に入りますよ
ね。その後A社株が9万円に値下がりした時に、再び買い戻せば、費用は9万
円で済みます。これで 借りていた株を返却すれば、差し引き1万円の利益が
手に入ります(別途手数料等が必要)。つまり空売りで儲けを出す為には、
通常とは逆に「将来値下がりしそうな株」をあえて狙う事になります。(引
用終わり)
「通常とは逆に『将来値下がりしそうな株』をあえて狙う事」が空売りのポイ
ントで、実際このときも東京電力の株価は1000円を超える急落となっていまし
た。このときの取引が「空売り」の買い戻しだったなら、なぜアライアンス・
バーンスタイン社は 東京電力株が 急落することを知っていたのか が問題で、
インサイダー取引だった疑いも出てきます。
アライアンス・バーンスタイン社がこのとき取得した株数は週刊ダイヤモンド
では触れられていませんが、発行済み株式数の5.5%でした。(FACTA online
2008年1月30日「阿部重夫・シンジケートコラム」)東電の株式数は 16億株な
ので、アライアンス・バーンスタイン社はこのとき 約9千万株を取得したこと
になります。
ヤフーファイナンスによると、東京電力の株価は 2007年春に 4000円を超えて
いますが、8月には3000円まで急落しています。アライアンス・バーンスタイン
社は 最高値のタイミングで東京電力株9千万株を空売りし、株価急落のタイミ
ングで空売りした 9000万株を買い戻したとしたら、差額は1000円強ですから、
わずか 3ヶ月余で1000億円近い利益を上げたことになります。何の情報もなし
にこんな博打に出たとは 考えられません。しかし2007年度末での 筆頭株主で
ある日本トラスティ・サービス信託銀行でも7700万株しかもっていません。同
社はどこから9000万株もの株を入手できたのでしょうか?
東京電力株は「東証・大証両取引所にて貸借銘柄指定」になっています。つま
り、投資家は大株主から直接東電株を借りなくても、証券金融会社から東京電
力株9000万株を借りて、東証でも大証でもそれを「空売り」できたというわけ
です。もし、「貸借銘柄指定」になっていなければ、個別の株主から借りなけ
れば「空売り」はできません。(利用制限枠があるが、上場株式数の10%以上
なので、今回の5.5%は 問題なし)ただし、9000万株がいつ市場で売買された
のか、出来高からはそのタイミングを特定することはできませんでした。
▼「空売り」と大地震
ところで、2007年夏の東京電力株暴落の原因は何だったのでしょうか?
2007年(平成19年)7月16日10時13分、新潟県 中越地方沖を震源とするマグニ
チュード6.8の地震が発生。東京電力柏崎刈羽原子力発電所でも最大の揺れ993
ガルを記録し、3号機横の変圧器が 火災を起こしただけでなく、周辺の送電鉄
塔が倒壊。発電所内が完全停電(ステーション・ブラックアウト)寸前の状態
でした。(ウィキペディア「柏崎刈羽原子力発電所」)
まさに、今回の福島第一と同じ事態がこのとき起きていたかもしれないのです。
このときの恐怖を広瀬隆は次のように記しています。(DAYS Japan2011年1月号
より以下引用)
東海大地震で浜岡原発の発電所内の電気の配線が切れてしまわないかという
不安は、新潟県中越沖地震の際、柏崎刈羽原発で現実のものとなった。この
地震では、一帯の送電線がすでに地震で遮断され、停電になってしまったの
だ。そのうち原発への送電が「奇跡的にかろうじて生きていた」ため、幸運
にも送電することができた。これは偶然による幸運としか言いようがない。
所内では、3号機の 変圧器の 地盤が 大沈下して、変圧器が火災を起こして
しまったので、これも外部からの送電不能の状態にあった。
緊急時に最後の頼みの綱となるのは非常用ディーゼル発電機だが、この地震
では非常用 発電機用の 燃料タンク周辺の 土地も陥没していたのだ。もし、
非常用ディーゼル発電機が起動しなければ、そしてそのような事態に対する
バックアップ機能がひとつでも地震のために働かなければ、北陸地方は廃墟
になっていたのである。(引用終わり)
政府も東電も今回の地震、津波を「想定外」と言っていますが、想定外どころ
か、ほとんど同じ状況が現実に4年前の新潟で起きていました。
2007年秋の アライアンス・バーンスタイン社による 東京電力株の大量買付け
事件は、「株の空売り→大地震→原発事故(株価暴落)→株の買戻し(ボロ儲
け)」というパターンだったということになります。そして空売りのポイント
は何度も書きますが「通常とは逆に『将来値下がりしそうな株』をあえて狙う
事」です。すると、アライアンス・バーンスタイン社は中越沖地震を予知して
いた?
まさか・・・、今回の東日本大震災では「人工地震」とか「地震兵器が使われ
た」とのウワサがネット上で流れてはいましたが・・・。アライアンス・バー
ンスタイン社が、何か東電株が暴落するネタ(インサイダー情報)をつかんで
空売りを仕掛けたところにたまたま大地震が起きて、刈羽原発がメルトダウン
寸前まで行ってしまったというふうに考えるしかありません。
しかし、2007年に東京電力が認めた不祥事(隠蔽工作)は次の 2点で、この時
には株価に変動はみられません。原発事故以外に「将来値下がり確実なネタ」
は見当たらないのです。
2007年1月31日
柏崎刈羽原発1号機で、ECCS の故障偽装など定期検査時の不正が常態化して
いた事実を認める。
2007年4月6日
福島第二原発4号機で、制御棒駆動装置の不正交換を偽装した事実を認める。
2008年1月14日
福島第二原発3・4号機廃棄物処理建屋の、海水ポンプの配管や電動機などが
破損。
(「週刊金曜日 840号 2011年3月25日発売」 より)
▼2匹目のドジョウ?
ところで、恐ろしいことに、今回の東日本大震災、福島原発危機にも東京電力
株の大量空売りがセットになっていた形跡があります。産経ビズ(2011年4月5
日20:28)より以下引用。
福島第1原発事故を受けて5日に上場来安値に並んだ東京電力株。「一時国有化」
への観測も飛び交う中で、東京電力株をまとめて買った投資家がいる。その正
体は?(夕刊フジ)
福島第1原発の水素爆発や放射能漏れなどが報じられるたびに 東電株は売ら
れ、震災前の3月10日終値が2153円だったのが、4月5日には一時、393円を付
け、1951年の上場来安値に並んだ。
大半の投資家が 売り姿勢の中で、東電株を 大量に購入した投資家の存在が
市場で話題となった。3日連続ストップ安となった3月31日に約4000万株、金
額にして約185億円の商いが成立している。「ほとんど一投資家のまとまっ
た買い」(大手証券ディーラー)だという。
「落ちてくるナイフを素手でつかむようなこうしたリスクの大きい注文は、
ヘッジファンドの短期売買の典型的な手口」(外資系証券トレーダー)との
声も聞かれる。値動きが大きい銘柄に対して巨額の資金を投じ、一気に利益
を稼ぐという手法だ。
その一方で、中国の存在を指摘する向きもある。東電株の約1.30%を保有し
て上位株主に 名を連ねる「SSBT OD05 OMNIBUS ACOUNT TREATY CLIENTS」な
るファンドだ。株式市場関係者の間では、実態は中国の政府系とみられてい
る。
「電力株は 外国人投資家の 保有規制があるため、買収目的は 考えにくい」
(前出の銀行系証券)とはいうものの、暴落局面で“逆張り”を行って買い
増したのでは、という推測をする市場関係者もいる。誰もが手を出さない時
こそ大もうけのチャンスということか。(引用終わり)
記事では、買い手が誰だかわかりませんし、中国系ファンドの関与説には何も
根拠が書かれていません。東電株の 大量購入日が「3月31日」だったことから
しても、今回も「空売り」の買戻しだった可能性が 高いと考えられます。4千
万株というところがミソで、発行株数の5%以上売買の場合、大量 保有報告書
の提出が義務付けられているのですが、今回は3%にすぎず、氏名は 公表され
ません。一方、空売りの買戻しでなかったならば、4千万株は東電では第6位の
大株主ですからいずれ決算書に大株主として実名が明らかになります。
今回の取引が 空売りだった場合、2010年秋に2500円で4千万株空売りしていれ
ば、3月末に 約185億円で買い戻しても、1千億円近い売却益を手にしたことに
なります。空売りの買戻しならば、「落ちてくるナイフを素手でつかむような
リスク」は何もありません。年度末だから戻した、それだけのことです。
今回の東日本大震災といい、4年前の新潟 中越沖地震といい、東京電力の原発
で大事故が起きることを見越したように、東電株の空売りで 2度も濡れ手で粟
の大儲けが続くとなると、「ひょっとして・・・原発事故を予見していた?」
と思ってしまいそうなほどのタイミングのよさです。
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---------------【引用おわり】---------------
●世界の環境ホットニュース[GEN] 804号:無「計画停電」決定までの舞台裏(17)
http://sociologio.at.webry.info/201105/article_8.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 803号:無「計画停電」決定までの舞台裏(16)
http://sociologio.at.webry.info/201104/article_137.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 801号:無「計画停電」決定までの舞台裏(15)
http://sociologio.at.webry.info/201104/article_129.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 801号:無「計画停電」決定までの舞台裏(14)
http://sociologio.at.webry.info/201104/article_128.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 799号:無「計画停電」決定までの舞台裏(13)
http://sociologio.at.webry.info/201104/article_101.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 798号:無「計画停電」決定までの舞台裏(12)
http://sociologio.at.webry.info/201104/article_92.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 797号:無「計画停電」決定までの舞台裏(11)
http://sociologio.at.webry.info/201104/article_78.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 796号:無「計画停電」決定までの舞台裏(10)
http://sociologio.at.webry.info/201104/article_44.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 795号:無「計画停電」決定までの舞台裏(9)
http://sociologio.at.webry.info/201104/article_42.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 794号:無「計画停電」決定までの舞台裏(8)
http://sociologio.at.webry.info/201104/article_25.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 793号:無「計画停電」決定までの舞台裏(7)
http://sociologio.at.webry.info/201104/article_5.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 792号:無「計画停電」決定までの舞台裏(6)
http://sociologio.at.webry.info/201103/article_110.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 790号:無「計画停電」決定までの舞台裏(5)
http://sociologio.at.webry.info/201103/article_98.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 790号:無「計画停電」決定までの舞台裏(4)
http://sociologio.at.webry.info/201103/article_88.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 789号:無「計画停電」決定までの舞台裏(3)
http://sociologio.at.webry.info/201103/article_72.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 788号:無「計画停電」決定までの舞台裏(2)
http://sociologio.at.webry.info/201103/article_66.html
●世界の環境ホットニュース[GEN] 787号:無「計画停電」決定までの舞台裏(1)
http://sociologio.at.webry.info/201103/article_55.html
●「東日本大震災:生活必需品の品薄広がる 計画停電が拍車」(毎日)
http://sociologio.at.webry.info/201103/article_44.html
●計画停電と非正規と原発ジプシー(ここヘンJAPAN)
http://sociologio.at.webry.info/201104/article_52.html
●八田達夫「送電網は新規事業者に開放を 原発は政府が管理すべき」in『週刊東洋経済』(田中秀臣)
http://sociologio.at.webry.info/201104/article_71.html
●鈴木耕「原発、「負の世界遺産」と「負の人材たち」、 そして、怒りを語ることの意味」
http://sociologio.at.webry.info/201104/article_47.html
●上杉隆氏ら自由報道協会による「原発事故」取材の報告…ほか(asyura)
http://sociologio.at.webry.info/201104/article_87.html
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