一部可視化試行 取調官97%が「効果ある」 「全面」は90%反対 警察庁 (産経新聞)ほか

警察庁の可視化検証「捜査機関寄り」の印象 
産経新聞
6月30日(木)10時16分配信

 今回の警察庁の検証は、あくまで、警察が自白の任意性の効果的な立証方法を検討するのが目的であり、容疑者の意見も取調官を通じたものでしかないため、「捜査機関寄り」の印象は否めない。だが、取調官が肌で感じた問題点はそれなりの説得力があるのも事実だ。

 弁護士会などの全面可視化推進派では、一部可視化に対し、「捜査機関の都合のいい部分だけで意味がない」として反対論が根強い。実際、取り調べの適正化が叫ばれている今なお、時折、暴力的な取り調べなどが問題化している。

 しかし、平均でわずか15分という試行でも「録画の際、容疑者のコメントを意識し、すべての取り調べが萎縮してしまう可能性がある」と話す取調官もおり、不適正な取り調べを防止する一定の効果もうかがえる。

 取り調べの可視化については、29日に始まった法制審議会特別部会の主要な議題になっている。できるなら、こうした捜査現場の率直な意見に加え、容疑者側の意見も客観的に聞き取り、議論に生かすことを期待したい。(楠秀司)




一部可視化試行 取調官97%が「効果ある」 「全面」は90%反対 警察庁
産経新聞
6月30日(木)10時15分配信
 警察庁は30日、平成21~23年の2年間に全国で試行した取り調べの一部録音・録画(可視化)の検証結果をまとめた。取調官の97・1%が公判での立証に「効果がある」と評価する一方、全課程の可視化には9割以上が「真実の供述が得られなくなる」などとして否定的な見解を示しており、可視化議論に影響を与えそうだ。

 まとめによると、録音・録画時に容疑者の態度が変化したと回答した取調官は57・3%。内容は「緊張していた」が最多の328件で、「言葉遣いや態度が丁寧になった」が105件、「言葉が少なくなった」が69件と続いた。

 具体的には、普段の取り調べでは「被害者を埋めればよかった」と勢いよく言っていた容疑者が「悪いことした」と反省の弁を述べたり、横柄な言葉遣いの被疑者が敬語を使ったりするなど、視聴者を意識して印象を良くしようとする傾向がうかがえたという。

 自白の任意性の立証という観点での有効性は、「大きな効果がある」が36・8%、「ある程度の効果はある」が60・3%を占めた。主な理由は「容疑者の申し立てに基づいて供述調書を訂正している状況がよくわかる」など。逆に、容疑者が緊張し態度が不自然になるなど、任意性の立証が困難になる場合があるとの指摘もあった。

 さらに、試行の範囲での可視化で取り調べの真相解明機能は害されるかという問いに対し、65・8%が「害されないと思う」と回答し、肯定的に受け止めた。ただ、14・9%は「カメラの前では素直に認めた方が公判で有利と考え、率直な意見を言えない容疑者もいる」などとして「害されると思う」と答えた。

 今回の試行を踏まえたうえで、全課程の可視化について尋ねたところ、「すべきである」が1%にとどまったのに対し、90・9%が「するべきではない」と回答。その大半が「容疑者との信頼関係の構築に支障がある」「容疑者の心理に影響を与え、真実の供述が得られなくなる」などと懸念を示した。

 一方、これ以外に容疑者が録音・録画を拒否したケースが14件あった。理由は、取り調べを他人に見られるのが恥ずかしいといった羞恥心や嫌悪感(8件)、可視化への疑念や警戒心(5件)、共犯者による報復への恐怖心(1件)だった。

 警察庁は「現在の試行は自白の任意性の効果的な立証方法になり得る半面、真相解明に影響を及ぼす場合がある」と分析。今後も改良を加えながら試行を継続する方針で、取り調べの可視化の議論に有効な検討材料を示したいとしている。

 ■警察による一部可視化の試行 全都道府県警が21年4月~23年3月までに717件(容疑者632人)の取り調べで実施。裁判員裁判において自白の任意性の効果的な立証方法を検討するのが目的で、暴力団犯罪など捜査に支障があると判断したものを除き、容疑者が犯行を自白した事件が対象。担当した取調官は613人。容疑者に録音・録画を告知したうえで、供述調書の読み聞かせ、閲覧、署名と自由に意見を聞く場面を撮影した。

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最終更新:6月30日(木)11時44分




<警察庁>取り調べ一部可視化の検証結果を公表
毎日新聞
6月30日(木)12時30分配信
 警察庁は30日、全国の警察で試験的に実施した取り調べの一部録音・録画の検証結果を公表した。取調官への聞き取り調査では、97%が自白の任意性の立証に有効だと評価する一方、15%は真相解明という取り調べの機能が損なわれると答えた。

 ◇自白の任意性立証に「有効」97%

 試行は、容疑者が自らの意思で自白したことを裁判員裁判で立証するのに有効かどうか検討する目的で09年4月に開始。今年3月までの2年間に、容疑者632人に対し計717回の録音・録画を実施した。罪種別では、強盗殺人・致傷など32%、強姦(ごうかん)致傷など18%、殺人や殺人未遂18%--が多かった。

 録音・録画は、裁判員裁判の対象事件のうち、関係者の安全や捜査の遂行に支障が出る恐れがないものなどを選んで実施した。取調官が自白調書を容疑者に読み聞かせ、閲覧させた上で署名を求める様子をDVDに記録。容疑者が録音・録画を拒否した場合は実施を見送った。

 試行に携わった取調官613人への聞き取り調査で、自白の任意性を立証するのに「大きな効果がある」と答えたのは37%、「ある程度の効果はある」は60%で肯定的な評価は97%に達した。

 真相解明という取り調べ本来の目的への影響については「害されない」が66%、「害される」は15%、「分からない」は19%。

 一方、取り調べの全過程を録音・録画する全面可視化については91%の取調官が「そうすべきでない」と回答。「どちらでもない」や「分からない」は8%で「そうすべきだ」は1%だった。

 捜査段階で自白した被告が公判で「自白に任意性がない」と主張したために証拠調べが行われたDVDは3件あったがいずれも判決で自白の任意性が認められた。警察庁は今後も録音・録画を試行する方針だ。【鮎川耕史】

 ◇解説…全面可視化に抵抗感強く

 全国の警察で試験的に実施された取り調べの一部録音・録画では、取調官の大半が肯定的な意見だった半面、全過程の録音・録画に対する強い抵抗感が浮かび上がった。全面可視化に反対する理由は「容疑者との信頼関係づくりに支障を生じる」「真実の供述が得にくくなる」などだ。

 大阪地検特捜部の証拠改ざん・隠蔽(いんぺい)事件などを契機に、自白強要による冤罪(えんざい)を防ぐ観点から、警察・検察を問わず、可視化拡大を求める声は高まっている。29日には法制審議会(法相の諮問機関)の特別部会で可視化の法制化を含む刑事司法の見直し議論も始まった。

 警察が試行する録音・録画は、犯行の概略や核心部分の供述調書を容疑者に読み聞かせ、閲覧させて、署名を求める状況が基本。裁判員裁判で自白の任意性を分かりやすく立証する手段として実施されており、可視化論議とは主眼が異なる。だが、録音・録画はその内容にかかわらず、取り調べの適正化と無関係ではあり得ない。

 警察庁は今回の検証結果に「録音・録画により取り調べの適正確保に一層意を用いることになり、この意味で取り調べの適正確保にも資する」との見解も盛り込んだ。今後は、取り調べ適正化への効果という視点でもさらに踏み込んだ検証をし、可視化議論の材料を国民に明確に示すことが求められる。【鮎川耕史】

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