東電女性社員殺害:遺留物に別人のDNA 再審の可能性(毎日)ほか

東電女性社員殺害:遺留物に別人のDNA 再審の可能性

 東京都渋谷区のアパートで97年、東京電力の女性社員(当時39歳)を殺害し現金を奪ったとして、強盗殺人罪に問われ無期懲役が確定したネパール人の元飲食店従業員、ゴビンダ・プラサド・マイナリ受刑者(44)の再審請求審で、東京高検が実施したDNA型鑑定の結果、被害者の女性の体から採取された体液の型が、殺害現場に残された別の男性の体毛の型と一致したことが分かった。マイナリ受刑者を巡っては、最高裁が03年10月、被害者が第三者と現場の部屋に行った可能性を否定した東京高裁判決を支持する決定を出して確定したが、今回の鑑定で再審開始の可能性が出てきた。

 検察側は、別の男性が犯人であることを直接示す鑑定ではないとして、有罪主張を維持するとみられる。捜査段階では女性の体から採取された体液のDNA型鑑定は行われていなかった。

 事件は直接的な証拠はなく、マイナリ受刑者は捜査段階から否認。1審東京地裁は無罪を言い渡したが、2審東京高裁で逆転有罪となった。高裁は、マイナリ受刑者が現場の部屋の鍵を持っていたことや、部屋のトイレに残っていた体液と落ちていた体毛のうち1本のDNA型がマイナリ受刑者と一致したことなどを重視。被害者が第三者と部屋に入った可能性は考えにくいとして無期懲役を言い渡し、最高裁も支持した。

 これに対し、弁護団は05年3月、現場にあったマイナリ受刑者の体液が事件当日より10日以上前のものであることを示す鑑定書が上告審で採用されなかったとして、これを「新証拠」として東京高裁に再審を請求した。高裁は今年1月、被害者に付着した体液などのDNA型鑑定実施を求め、東京高検が専門家に依頼していた。

 再審は、有罪確定者に無罪を言い渡すべき明らかな証拠を新たに発見した場合などに再度、審理を開始する。1975年の最高裁決定(白鳥決定)は明らかな証拠について「新証拠と他の全証拠を総合的に評価し、事実認定に合理的な疑いを生じさせれば足りる」との判断基準を示している。

 DNA型鑑定を新証拠とした再審では、栃木県足利市で保育園女児(当時4歳)が遺体で見つかった足利事件で、無期懲役判決が確定していた菅家利和さん(64)が宇都宮地裁の再審で昨年3月に無罪になっている。【鈴木一生、山本将克】

◇東電女性社員殺害事件

 97年3月19日、東京都渋谷区のアパートの空き室で東京電力の女性社員(当時39歳)が絞殺体で発見された事件。隣のビルに住んでいたネパール人のゴビンダ・プラサド・マイナリ受刑者(44)が強盗殺人容疑で逮捕、起訴された。弁護側は無罪を主張したが、女性の首を絞めて殺害、現金約4万円を奪ったとして無期懲役が確定した。被害者が大手企業の女性総合職の草分けだったことからプライバシーに関する報道が過熱。東京法務局が一部出版社に再発防止を求める勧告を出すなど報道のあり方も問われた。

毎日新聞 2011年7月21日 11時53分(最終更新 7月21日 12時33分)





東電女性社員殺害:支援者ら「再審へ一歩」 検察も強気

 発生から14年余りを経て、東京電力の女性社員殺害事件が新たな展開を見せた。事件当日に第三者が現場にいた可能性を示す新たなDNA型鑑定結果は、ネパール人のゴビンダ・プラサド・マイナリ受刑者(44)の有罪を覆す証拠となるのか。冤罪(えんざい)だと主張する支援者たちが「再審開始に向けた大きな一歩」と期待する一方、検察幹部は「直接無罪につながるものでない」と強気の姿勢を崩さなかった。

 事件発覚は97年3月19日。東京都渋谷区円山町の木造アパートの空き室で女性の絞殺体が見つかった。この部屋を借りる手続きを進め、所有者から鍵を預かっていたマイナリ受刑者が、直後から捜査線に浮上。マイナリ受刑者は同22日、無実を訴えるため警視庁渋谷署に出頭したが、翌日に不法滞在容疑で逮捕された。5月20日には不法滞在で有罪判決を受け、同日中に強盗殺人容疑で再逮捕された。

 97年10月14日の東京地裁の初公判で、マイナリ受刑者は「私はいかなる女性を殺したこともなければ、お金を取ったこともない」と起訴内容を全面否認した。

 東京地裁も現場のトイレから発見され、検察側が有力な物証としたマイナリ受刑者の精液が入ったコンドームについても「犯行のあった日よりも以前に残された可能性が高い」などと指摘。00年4月、「状況証拠はいずれも反対解釈の余地が残っている」と犯人性に疑問符をつけ、無罪を言い渡した。検察側は控訴した。

 しかし、東京高裁は検察側が控訴審で新たに提出した女性の古い手帳の記載などを根拠に「被告の弁解は信用できず、1審判決は証拠の評価を誤った」と結論づけ、00年12月、逆転有罪の判決を言い渡した。

 「神様、やってない」「神様、助けてください」。マイナリ受刑者は日本語で無実を訴えたが、最高裁も03年10月、高裁の判断を支持し、被告の上告を退けた。

 「再審が開始されることに希望を持っている」。マイナリ受刑者を支援する「無実のゴビンダさんを支える会」の客野(きゃくの)美喜子事務局長は鑑定結果を聞き、興奮気味に話した。

 今年3月ごろ、弁護団などから鑑定が進められていることを知らされ、横浜刑務所に収監されているマイナリ受刑者にも直接伝えた。マイナリ受刑者は「良い結果が出るように期待する」と明るい表情を浮かべ、7月15日に面会した際にも「再審が始まれば(無実を証明できる)自信がある」と繰り返していたという。客野事務局長は「この事件はマイナリ受刑者が犯人だという決定的証拠がない。新たな証拠が出た以上、裁判所は一日も早く再審開始決定を出してほしい」と訴えた。

 一方、検察側は「ただちに再審事由になるかと言えば、そんなことはない」と強調した。ある検察幹部は現場に第三者がいた可能性を示唆する証拠であることを認めつつ「それで何が言えるかが問題だ」と指摘。有罪判決は崩れないとの見方を示した。別の検察幹部も「そんな大騒ぎすることじゃない」と強気の姿勢を見せた。【山本将克、山田奈緒】

◇「改めて怒りわく」…「東電OL殺人事件」の著者でノンフィクション作家の佐野眞一さんの話

 初めからずっと冤罪だと思っていたし(有罪の根拠となった)DNA型鑑定もいいかげんだと著書に書いてきた。やっと再審の道が開けてよかったと思うが、有罪判決を出した東京高裁の裁判官は、どう申し開きができるのか。DNA型鑑定を証拠として犯罪者に仕立て上げるという手法は完璧に崩れた。マイナリ受刑者はいま横浜刑務所にいる。奥さんも娘さんも何度も何度もネパールから泣きの涙で日本へ通った。事件から14年の歳月を司法はどう補償するのか。改めて怒りがわく。

毎日新聞 2011年7月21日 14時19分(最終更新 7月21日 15時09分)



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