毎日 社説:東電女性社員殺害 再審で審理やり直せ

社説:東電女性社員殺害 再審で審理やり直せ

 驚くべき事実だ。97年に起きた東京電力の女性社員殺害事件で、被害者の体から採取された精液のDNA鑑定をした結果、無期懲役が確定したネパール人受刑者とは別人で、現場に残された身元不明の体毛と型が一致したことが分かったのだ。

 元飲食店従業員のゴビンダ・プラサド・マイナリ受刑者の再審請求審で、東京高裁の求めに応じ、東京高検が専門家に鑑定を依頼していた。

 直接的な証拠がない事件だと言われた。だが、現場である東京都渋谷区のアパートの部屋のトイレに残されていた精液と、落ちていた体毛1本のDNA型がマイナリ受刑者と一致したことなどから、マイナリ受刑者は逮捕・起訴された。

 しかし、マイナリ受刑者は捜査段階から一貫して否認した。1審・東京地裁は2000年4月、トイレにあったマイナリ受刑者の精液を「犯行のあった日より以前に残された可能性が高い」と認定。さらに、遺体近くに別の第三者の体毛が残っていたことを指摘し「状況証拠はいずれも反対解釈の余地があり不十分」などとして、無罪を言い渡した。

 しかし、東京高裁は同12月、マイナリ受刑者以外が現場の部屋にいた可能性を否定し、無期懲役を言い渡し、03年11月に最高裁で確定した。

 再審は、無罪を言い渡すべき明らかな新証拠が見つかった場合に始まる。最高裁は75年の「白鳥決定」で「新証拠と他の全証拠を総合的に評価し、事実認定に合理的な疑いを生じさせれば足りる」と、比較的緩やかな判断基準を示した。

 新たな鑑定結果は、現場にマイナリ受刑者以外の第三者がいた可能性を示すもので、確定判決の事実認定に大きな疑問を投げかけたのは間違いない。裁判所は再審開始を決定し、改めて審理をやり直すべきだ。

 それにしても、被害者の体から精液が採取されていたならば、容疑者の特定に直結する直接的な証拠ではないか。トイレに残っていたコンドームの精液をDNA鑑定する一方で、体に残った精液のDNA鑑定をしなかったとすればなぜか。整合性が取れないとの疑問が残る。

 警察・検察当局は、鑑定技術の問題なのかを含め、再審請求審までDNA鑑定がずれ込んだ経緯を十分に説明してもらいたい。また、なぜ公判段階で証拠調べができなかったのか弁護団も検証すべきだ。検察側の証拠開示に問題があったのか、弁護側に落ち度があったのか責任の所在を明らかにすることが、今後の刑事弁護に生かす道につながる。

 DNA鑑定は、容疑者の特定に直結する。再鑑定ができるよう複数の試料を残すことなど保管についてのルール作りも改めて求めたい。

毎日新聞 2011年7月22日 2時32分



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●東電女性社員殺害:遺留物に別人のDNA 再審の可能性(毎日)ほか
http://sociologio.at.webry.info/201107/article_65.html
●一部可視化試行 取調官97%が「効果ある」 「全面」は90%反対 警察庁 (産経新聞)ほか
http://sociologio.at.webry.info/201107/article_4.html
●名古屋特捜の「可視化」中止…容疑者が撮影拒否 (読売新聞)
http://sociologio.at.webry.info/201107/article_10.html

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