自転車:視覚障害者の白杖折損増加 修理の6割超(毎日)ほか

自転車:視覚障害者の白杖折損増加 修理の6割超

 歩行中の視覚障害者が、目の代わりと言える白杖(はくじょう)を走行中の自転車に折られるケースが相次いでいる。明確な統計はないが、「白杖修理の原因は約3分の2が自転車との接触」とみる団体もある。自転車と歩行者の事故は09年までの10年間で3.7倍に増加する一方、歩道には点字ブロックなどが設けられてバリアフリー化が進み、視覚障害者の通行も今後さらに増えるとみられる。自転車利用者への注意喚起やルールづくりが課題として浮かぶ。

 白杖の修理を請け負う社会福祉法人「日本点字図書館」(東京都新宿区)には、全国から多い時には月20本が持ち込まれる。20年近く携わってきた担当者によると、自転車による被害は以前から多く、「全体の6、7割を占めるのでは」と話す。2カ月で2回も折られたケースもあったという。

 白杖の販売・修理をする社会福祉法人「日本盲人会連合」(同)の担当者も「実感として自転車に折られるケースが最も多い」と言う。月2、3本の修理をするほか、被害に遭って新品を購入する人も少なくない。担当者は「そのまま立ち去る自転車が多く、障害者は泣き寝入り。ひき逃げと一緒だ」と話す。

 厚生労働省によると、全国の自治体に申請があった白杖の修理は05年度の59件から09年度は71件に増えた。

 筑波大講師らのグループが全盲の343人を調査し99年に発表した研究報告によると、67%が「自転車とぶつかったことがある」とし、そのうち約7割は「相手はそのまま行ってしまう」と答えた。自由回答では白杖が折れたり曲がったりしたとの訴えも目立ち、「引っかけても知らん顔。棒切れにしか思っていないのでは」との記載も。9割が自転車の歩道走行に危険を感じ、1割は「歩道を走らないで」と求めた。

 調査に加わった都市プランナーの松村みち子さんは「視覚障害者は白杖を折られたら一歩も動けない。自転車は注意を徹底してほしい」と呼びかけている。【馬場直子】

毎日新聞 2011年8月16日 15時00分(最終更新 8月16日 17時49分)
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<自転車レーン>設置で事故36%減…国のモデル地区事業
<標識標示令>自転車に一方通行規制へ 対面事故を防止
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銀輪の死角:どうなる走行規制/1 視覚障害者の恐怖


歩道を走る自転車に何度も怖い思いをした
全盲の織田洋さん=東京都豊島区で、
木葉健二撮影

画像 ◇「命綱」何度も折られ
 みんな何気なくペダルをこいでいる。それが、命綱の「アンテナ」を奪うこともある。

 全盲の織田洋さん(57)=東京都豊島区=は、1人で街を歩くようになってから30年以上たつ。ずっと、白杖(はくじょう)が頼りだった。それを7、8本折ったのが自転車だ。

 歩道で前を横切られて白杖を車輪に挟まれ、あるいは踏まれた。下3分の1を壊されて地面を探れず、交番で釣りざおを借り、ようやく家にたどり着いたこともあった。

 5年ほど前には、自宅に近いJR大塚駅前の歩道で、向かってきた女性の自転車とぶつかり、はね飛ばされて転倒した。白杖は無事だったが、顔と足は切り傷だらけになった。

 外出すると、自転車が最も怖い存在になった。エンジン音などで気づく車と違い、音のしない自転車は前からも後ろからも予告なく近づく。心構えのないまま、ひやりとすることがしばしばだ。

 視覚障害者を支援するNPO法人の代表を務め、同じ境遇の人たちと話をすると、多くが似たような経験をしていた。中には予備のつえを持ち歩く人すらいた。「自転車は車道を走るか、歩道では歩行者優先のルールを守ってほしい」。願いは切実だ。

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 加藤満裕美さん(43)=同練馬区=も2年ほど前、勤務先近くで子供が乗る自転車に白杖を折られた。一緒にいた子供の父親が気づき、修理する施設も近くにあって事なきを得た。もし立ち去られてしまえば、相手が見えないため途方に暮れるしかなかった。健常者が、いきなり目隠しされて歩くのと同じだ。

 自転車が多く通るところでは白杖の持ち方を変えている。横から握らず、自転車の気配を感じた時に引っ込めやすいよう上から手のひらで覆う。本来の使い方ではないが、そうしないと何本あっても足りないだろう。

 自転車が縦横無尽に走る歩道は、安全な場所でないと感じるが全面的に自転車が悪いとは思いたくない。自分たちも、ふらふら歩いて迷惑をかけているかもしれないから。

 「白杖を見たら、ちょっと速度を緩めるとか。そんな譲り合いの気持ちを持ってもらえれば事故は回避できると思う」

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 約40年前の「交通戦争」を機に続く自転車の歩道走行。警察庁は7月、自転車の歩道での左側一方通行を標識で規制できるよう法令を改正し、対面事故などを防止する方針を打ち出した。走行規制への期待と課題を探った。=つづく

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 馬場直子、北村和巳が担当します。

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毎日新聞 2011年8月16日 東京夕刊

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<連載企画>銀輪の死角 自転車との共生社会を考えます








●「自転車と安全 歩道歩行は一方通行に(津田美知子)=自転車の「とおりみち」10」(タカマサのきまぐれ時評2)
http://harana.blog21.fc2.com/blog-entry-459.html

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