世界の環境ホットニュース[GEN822] 豚インフルエンザ報道を検証する(43)

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     世界の環境ホットニュース[GEN] 822号 11年9月30日
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          豚インフルエンザ報道を検証する(43)
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 第43回 文化庁までもが「でっちあげ」に加担?       原田和明

昨年ヨーロッパで、WHO のパンデミックでっちあげ調査と、ワクチンのキャン
セル交渉が同時進行していた頃、日本は対照的にパンデミックに翻弄され続け
ていました。春に口蹄疫騒動が不自然にも宮崎限定で勃発、冬になると、野鳥
から次々と高病原性鳥インフルエンザが見つかりました。しかし、口蹄疫騒動
には不自然なことが多すぎました。そして、豚インフルエンザパンデミックが
定義を変更したでっちあげだった可能性が浮上。実はパンデミックの本命であ
る高病原性鳥インフルエンザもでっちあげの疑いがあります。

▼ 高病原性鳥インフルエンザも定義に疑問

国内で唯一、口蹄疫の検査ができる動物衛生研究所のホームページに「高病原
性鳥インフルエンザ Q&A」があり、Q2 に高病原性鳥インフルエンザの定義が
示されています。

 (以下引用)
 高病原性鳥インフルエンザとは、家畜伝染病予防法で定められている、以下
 の1)から 3)のいずれかにあてはまる A型インフルエンザウイルスの感
 染による鶏、あひる、うずら、七面鳥の病気をいいます。強毒型の高病原性
 鳥インフルエンザウイルスによる感染では、感染した鶏の大半が死亡するな
 ど大きな被害が出ます。ただし、病原性が低いH5あるいはH7亜型感染の場合
 は、無症状あるいは軽い呼吸器症状や産卵率の低下をしめす程度です。

 1)静脈内接種で鶏を高率に死亡させる鳥インフルエンザウイルス
 2)HA蛋白の開裂部位のアミノ酸配列が強毒型のウイルス
 3)病原性の高低にかかわらず全てのH5あるいはH7亜型の鳥インフルエンザ
  ウイルス
 (引用終わり)

問題は3)です。「病原性の高低にかかわらず」とは、「病原性の低い高病原
性」鳥インフルエンザが存在することを意味します。言い換えると「病原性は
低いけど、『病原性が高い』と呼ぶことにする」という話です。これは驚きま
した。「全てのH5あるいはH7亜型の鳥インフルエンザウイルス」は高病原性と
いう性質をもっているのではなく、高病原性という呼び方をするという定義の
問題だったのです。

もちろん、Q3に補足説明があって、「H5、H7亜型のウイルスの場合、流行当初
は弱毒であっても家きんの間で感染を繰り返すうちに数ヶ月後には強毒に変異
する場合がありますから注意が必要です。」となっています。

これも難癖をつけるようですが、「強毒に変異する場合がある」ということは
「弱毒性のまま」の場合だってあるということでしょう。問題は変異した場合
の毒性の強さ、変異する確率とスピードです。もし、短期間のうちにほとんど
のH5、H7亜型のウイルスが強毒に変異するというのなら、定義の通りでいいの
でしょうが、その点の解説はありません。逆の場合であれば、豚インフルエン
ザ同様、弱毒性であるにも関わらず、パニックを誘発することにもなりかねま
せん。

パニックの実例が各地で起きた野鳥の殺処分です。上の定義からわかるように、
対象は「鶏、あひる、うずら、七面鳥」ですから「飼育されている鳥類=家き
ん」であって、野鳥ではありません。野鳥の感染症を取り締まる法律はありま
せん。ですから、鳥インフルエンザウイルスが一部で検出されたからといって、
そのあたりにいる野鳥をすべて皆殺しにすることを正当化する根拠はないので
す。

「放置すると被害が拡大する」というのは、繰り返しになりますが、「変異し
た場合の毒性の強さ、変異する確率とスピード」から判断されるべきでしょう。

豚インフルエンザの場合、WHO が勝手に定義を変更してパニックを煽ったとい
う疑惑が出ている以上、高病原性鳥インフルエンザも定義の勝手な拡大解釈が
ないか用心しなければなりません。特に「病原性が低い高病原性」という定義
は要注意です。その疑いがもたれる事例が東日本大震災の直前に鹿児島であっ
たのです。

▼ 鹿児島県出水市のナベヅルは死ななかった。

鳥インフルエンザも「高病原性」だの「ヒトにも感染する」だのと云われ始め
た経緯には数々の疑問があることは、「豚インフルエンザ報道を検証する イ
ンフルエンザ怖いキャンペーン」第31-34回(GEN742-745)で述べました。し
かし、高病原性鳥インフルエンザも口蹄疫同様、発見され次第、殺処分されて
しまいますので、ありふれた軽い病気なのかどうかを確認する機会がありませ
んでした。

ところが、昨年末に発見された鹿児島県出水市のナベヅルの高病原性鳥インフ
ルエンザ感染は、天然記念物であるがゆえに殺処分を免れ、高病原性鳥インフ
ルエンザの病原性がどのように変異するかを知る貴重な機会となりました。そ
して感染が拡大しないまま北帰行が始まったのです。そこから見えてきたこと
は・・・。読売新聞九州版から概要を報告します。

──2010年12月15日と18日に鹿児島県出水市の国指定出水・高尾野鳥獣保護区
内で、同市のツル保護監視員が衰弱しているツル 2羽を発見。どちらも保護さ
れた後に死んだが、鹿児島大で20日に簡易検査を行ったところ、15日に保護さ
れたツル(Aとする)は陰性だったが、18日に保護された1羽(※B とする)か
ら陽性反応が出た。(読売新聞2010年12月21日)鳥取大での詳しい遺伝子検査
の結果、21日にBから(読売新聞2010年12月22日)、24日にはAからもいずれも
高病原性鳥インフルエンザウイルス「H5N1亜型」が検出され大騒ぎになった。
19日以降にも死んだ野鳥はナベヅル10羽(うち 3羽が簡易検査陽性)、マナヅ
ル(簡易検査陽性)、カモ各1羽の計12羽いたが(読売新聞2010年12月25日)、
AとB 以外は鳥取大学の遺伝子検査で陰性だった──。


さて、これが養鶏場の鶏なら即刻全部殺処分だったでしょう。しかし、鹿児島
県出水市のナベヅルは国の天然記念物に指定されているが故に殺処分できませ
んでした。そのため、1万羽を超えるナベヅルの群れに 感染が広がるのかどう
かは、高病原性鳥インフルエンザが高い病原性を発揮するのかどうかを知る貴
重な実証例となりました。そして私の期待通りその後異変はなく、2月1日には
北帰行が始まっています。(朝日新聞2011年2月2日5時1分)ナベヅルの事例ひ
とつをもって、鶏でも軽い病気だとまでは言えませんが、どうも、高病原性鳥
インフルエンザも巷間いわれているような「放置すれば感染が広がり、必ず死
んでしまうというわけでもない」くらいは言えるかもしれません。

▼ 文化庁が野鳥の皆殺しを誘導

高病原性鳥インフルエンザも豚インフルエンザと同じく、怪しげな定義がまか
り通っていて、弱毒性なのに騒ぎ立てる状況になっていないでしょうか? そ
の陰に、なぜか文化庁が介在していました。山口県宇部市では鹿児島県のナベ
ヅルとは対照的に、白鳥湖の鳥類が全殺処分されてしまいました。その全殺処
分を文化庁が誘導した疑いがあります。

山口県宇部市では常盤湖(白鳥湖)で 2月6日にキンクロハジロ、9日にコクチ
ョウから高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出されたことから市は殺処分
を決定。同日 午後9時過ぎ、白鳥湖内のすべてのハクチョウ類とガンの捕獲作
業の準備を開始しました。ところで、白鳥湖の鳥類は家畜ではないので、殺処
分を定めた法律はありません。「殺処分」は超法規的措置ということになりま
す。(朝日新聞2010年2月10日より)

 (以下引用)
 養鶏場の場合、家畜伝染病予防法に基づき、殺処分や移動制限措置などが取
 られるが、動物園や公園で飼育されている動物などに対する感染防止策を定
 めた法律はない。久保田后子市長は「放置すれば感染が広がり、必ず死んで
 しまうという関係機関の助言もあり、残念な結果だが、拡大を防ぐために苦
 渋の決断をした」と話す。
 (引用終わり)

宇部市長の背中を押したのは、「関係機関の助言」だったと市長自身が告白し
ています。「関係機関」から「放置すれば感染が広がり、必ず死んでしまう」
といわれれば、それを拒否することは市長にはできなかったことでしょう。し
かし、これまで見て来たように「放置すれば・・必ず死んでしまう」とは限ら
ないのです。難しかったかもしれませんが、出水市のナベヅルを思い出して、
「感染が広がるとは限らない」と考え直して欲しかった。ところで、関係機関
とはどこのことをさすのでしょうか? 宇部市長をそそのかした「関係機関」
は特定できませんでしたが、鹿児島県出水市の渋谷俊彦市長にもナベヅルの殺
処分を間接的に勧めた人物がいます。(読売新聞2010年12月24日九州版より)

 (以下引用)
 文化庁の文化財調査官(江戸謙顕)が12月23日、出水市役所を訪問。天然記
 念物に手を加える場合は同庁長官の許可が必要だが、感染が爆発的に拡大し
 た場合などは、市長の判断で殺処分できることを伝えましたが、渋谷俊彦市
 長は「現時点で処分は考えていない」と述べています。
 (引用終わり)

「(天然記念物でも)感染が爆発的に拡大した場合などは、市長の判断で殺処
分できる」

鹿児島県出水市のツルは文化財保護法に規定された特別天然記念物です。文化
財調査官という一介の小役人が独断で法を曲げて「市長の判断で天然記念物で
も殺処分できる」などと云えるはずがないのです。文化財保護法(第125条 及
び第196条)には次のように定められています。

 (以下引用)
 第百二十五条 史跡名勝天然記念物に関しその現状を変更し、又はその保存
 に影響を及ぼす行為をしようとするときは、文化庁長官の許可を受けなけれ
 ばならない。

 第百九十六条 史跡名勝天然記念物の現状を変更し、又はその保存に影響を
 及ぼす行為をして、これを滅失し、き損し、又は衰亡するに至らしめた者は、
 五年以下の懲役若しくは禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。
 (引用終わり)

江戸謙顕は、誰か幹部の指示に従って、「文化庁は告発しないよ」と渋谷市長
に呟いた、ツルを殺すよう誘ったのだと思われます。ところで、江戸謙顕とい
う人物、鹿児島ともツルとも無縁の人でした。Amazon 他から 彼の略歴を整理
してみました。

 江戸謙顕(えど かねあき)
 1970年、東京都に生まれる。2001年、北海道大学大学院地球環境科学研究科
 博士課程修了。2002年1月から学術振興会科学技術特別研究員。2004年まで
 北海道環境科学研究センター(札幌市)に在籍。専門は保全生物学。2004年、
 絶滅が危惧される国内最大の淡水魚イトウの生息実態に関する研究と保護対
 策活動が評価されて、「しれとこ賞」受賞。2007年文化庁記念物課・文化財
 調査官に就職。

ところで、彼は何のために出水市に行ったのでしょうか? (南日本新聞2010
12/24 06:30より)

 (以下引用)
 出水市の出水平野で ナベヅル1羽が感染した高病原性鳥インフルエンザに関
 し、同市は23日、死んだツルや野鳥を対象に行ってきた簡易検査を、同市ツ
 ル保護センターで保護した衰弱ツルにも拡大することを明らかにした。感染
 の早期発見につなげる狙い。
 また、北薩家畜保健衛生所や鹿児島大学に委託してきた簡易検査を同センタ
 ーで行うため、市は独自に獣医師を確保する。いずれも時期は未定だが、準
 備でき次第、実施する。市を訪れた文化庁の江戸謙顕文化財調査官と、渋谷
 俊彦市長らが協議し決めた。
 (引用終わり)

北海道の淡水魚の専門家がなぜ鹿児島で簡易検査の話をしているのでしょう?
そもそも、2月初めには ナベヅルの 北帰行が 始まるというのに、今から突然
「独自に獣医師を確保する」なんて短期間では無理でしょう。獣医師の選任に
一月、フンの採取と簡易検査の習得に一月と考えると、もうそのときには北帰
行が始まってしまいます。いかにも思いつきのドタバタ対策で、とても「感染
の早期発見」につながる案だとは思えません。

こうして考えると、簡易検査の話は市長に面会するための口実でしょう。江戸
謙顕の本来の出張目的は、渋谷市長に「ツルの殺処分」を決断するように誘導
することだったのではないかと推測されます。出水市では失敗したが、宇部市
では成功した?

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●山田 真『インフルエンザパニックが教えてくれたこと』
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