国際教養学部国際社会系演習Ⅱ第4回(戦後の穀物戦略と食文化変動 語学学習者の選択動機)

演習Ⅱ第4回(2011/10/18)


鈴木猛夫「アメリカ小麦戦略」と日本人の食生活


2003-07 農林水産図書資料月報 
鈴木猛夫 著
「アメリカ小麦戦略」と日本人の食生活

長崎大学環境科学部助教授・中村修


 本書は二部構成になっている。第Ⅰ部「アメリカ小麦戦略」と学校給食、
第Ⅱ部日本人の食生活と栄養学である。そして、この本全体を通して重要な
位置を占めているのが学校給食である。


●「アメリカ小麦戦略」
 戦後、食糧不足の際に、アメリカの小麦と脱脂粉乳で学校給食がスタート
し、多くの子どもの命を救ったことは有名である。
 ただアメリカは無償で小麦粉を配ったわけではなく、自国の余剰小麦のは
け口として、さらには将来の小麦の客として育成するという戦略を持って取
り組んでいた。これは『アメリカ小麦戦略』(高嶋光雪 家の光協会 1979
年)に詳細に描かれている。
 今回、著者は「アメリカ小麦戦略」に新たな資料を加え、日本の食生活の
急激な変化とそれに貢献した栄養学のありかたについても批判をふまえた提
案をしている。
 アメリカから送られた小麦は格安で販売され、その売り上げの一部の使い
方はアメリカの農務省から、きちんと指示されていた。総額4億2千万円の
資金がアメリカから日本に活動資金として渡され、当時の厚生省、農林省、
文部省が協力してアメリカの指示した事業を展開した。その結果、キッチン
カー
が全国を走り、草の根レベルから和食の否定、パン食への転換が進めら
れた。
 1958年、慶應大学医学部教授の林氏は『頭脳』という本を出版し、「米食
をすると頭脳が悪くなる」と主張する。さらに、小麦食品業界は科学者とし
ての彼を活用し「米を食べると馬鹿になる」というパンフレットを作って、
彼の講演の場で数十万部も配布していく。
 学校給食の場では、栄養士による「科学的食事指導」によって米飯は否定
され、パン食こそが科学的な食事だと、子どもたちは日々教育されていった。
 こうして育った子どもが大人になったとき、米を軽視し米の輸入を受け入
れていったことは偶然ではないだろう。
 著者が本書であらわしたよう、栄養学を戦略的に組み込んだアメリカの小
麦戦略は、日本において見事に成功をおさめた。
 著者は批判にとどまらない。学校給食で日本の食文化が破壊されたのであ
れば、学校給食を通して日本の食文化の回復が可能である、という信念に基
づいて、米飯給食、日本型栄養学を提案する。
 この日本型栄養学という概念にひかれて評者は東京に住む筆者を訪問した。
 現在の学校給食の献立は一見、豪華である。しかし、栄養素的には十分で
も、食材は輸入品であったり、地域外のものばかり使われている。米飯には
毎回必ず、合成のビタミン剤である強化米が添加されている。
 一方、食中毒をおそれるあまり、生野菜は一切使われることはない。キュ
ウリは熱湯を通らせたものが子どもたちに提供される。パンに肉うどんに牛
乳、きんぴらという奇妙な組み合わせの献立がまかりとおる学校給食を毎日
食べることで、子どもたちは、食事の意味を栄養素でしか感じられなくなっ
ている。栄養素で食事を考えれば、地域の農産物も輸入農産物も同じ。しか
も、足りない栄養素はコンビニで合成ビタミン剤として販売されている。

●農業政策としての地産地消
 このような学校給食の現状と子どもたちの食の現状に出会い、評者はその
解決方法に苦慮してきた。著者もまた市民運動として学校給食の改善に奔走
している。ここでの基本的な考え方として、著者は和食を主体とする日本型
栄養学の必要性をいうのだが、新しい学問のありかたの提案としては弱さを
感じた。米を主体にした和食のすすめと、企業戦略に翻弄される栄養学への
批判は、それぞれ別の課題として論じたほうが、今後の展開が望めるのでは
ないだろうか。
 ただ、地産地消が国の政策として掲げられ、地場の農産物を使った学校給食がその中心として動き出している今、本書は重要な
資料、あるいは基本的な考え方を提示するものとして、一読をお勧めしたい。



●「学校給食
●「米飯給食
●「穀物戦略
●「白米 常食 日本列島
●ウィキペディア「日本の脚気史
●ウィキペディア「日本料理


【食生活の例】
ケース1
日常食:ご飯が多いが、麺( そば、うどん、パスタ)もよく食べる。豆腐、味噌汁などの和食も多い。焼き魚も多い。わりと伝統食が中心。
非日常食:外食はあまりしない。外食するときは焼き肉、寿司、イタリアン、がほとんど。


ケース2
日常「ケ」の食生活文化
・家庭では米食が中心。
・最近では多忙なときは、副菜のいらない麺類が多くなってきた。
・祖母の影響もあり、主菜、副菜がしっかりある食事が多い。
・パンはあまり食べない。マクドナルドなどのファストフードもあまり口にしない。

非日常「ハレ」の食生活文化
・誕生日などの特別な日には、一般的なお寿司、焼肉を食べることが多い。
・季節の節目などにはその時に食べるといいとされるものを食べている。
(おせち料理、ちらし寿司、七草かゆ、クリスマスのチキンなど)


ケース3
日常の食文化
 日本の伝統的な食事が多いが洋風(ウィンナーソーセージなど食材)がミックスされている。
 和食はヘルシーなイメージ。
非日常
 洋(仏・伊など)・中など普段食べないものを食べる。外国料理が多い。






【語学学習の動機と経緯】
ケース1
①第二言語(英語)を学習する動機、目的、手段など
・親、マスコミなどの影響で小学校4年生から6年生まで英会話を習っていたため、
英語への関心も高く、漠然と英語学習は重要であると感じていた。
・中学入学後、本格的に学習が始まると、文法や形式的な英語に苦手意識を持ちはじめてしまう。
・その後も大学入学まで、受験のために英語を勉強するという感じで、必要最低限の学習をしてきた。
②第三言語(中国語)を選択した動機
・英語からの逃げという意識は少なからずあった。
・発展著しい中国への期待
・英語に比べて希少価値が高い
③現在の考え
・アルバイトなどを通して英語の重要性を再認識。今後積極的に学習したい。
・英語に比べ話せれば希少性がある中国語の持つアドバンテージを生かせるように
まずは検定試験などで形に残したい。


ケース2
英語:3歳くらいから、近くの子ども英会話に通っていた。英語は好きだけど、文法は嫌い。バイトでも英語は時々使ってます。目標は、外国人とだいたいの会話できるレベルです。
スペイン語:今は、スペイン語検定4級に挑戦中です。目標は、日常会話レベルです。ポルトガル語にも興味があります。


ケース3
英語:小学生のころから身近に感じていた(習い事)。勉強することがあたりまえだと、まわりに言われて育ったので、自分もそうだと思いながら、ここまできた。キライではなかったし、自身も外国人とコミュニケーションをとることを楽しんでいたため、大学でも勉強することを決めた。
フランス語:第2外国語を学ぶことで、他の人と差をつける。さらにコミュニケーションの幅を広げる。
フランスは世界史を学ぶ中でヨーロッパの中心というイメージうぃ抱いていた。発音が流れるようで、かっこいいと思った。自分がつきたい職の世界の中心となっている●●●●(美容業界ブランド)がパリにある。うちの美容院でも、サロンでフランス語が使えると本部との連絡が便利だし、発展につながる。



●国際教養学部国際社会系演習Ⅱ第3回(タジキスタンなど 中央アジアの ロシア語回帰)
http://sociologio.at.webry.info/201110/article_36.html
●国際教養学部国際社会系演習Ⅱ第2回(小島剛一 関連情報)
http://sociologio.at.webry.info/201110/article_15.html
●国際教養学部国際社会系演習Ⅱ第1回【加筆あり】
http://sociologio.at.webry.info/201109/article_73.html
●マルチ言語宣言 なぜ英語以外の外国語を学ぶのか(京都大学学術出版会)
http://sociologio.at.webry.info/201109/article_43.html



【かきかけ】


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