「格差生んでもエリート育成」大阪府教育基本条例案 作成者に聞く(朝日2011/10/19)

「格差生んでもエリート育成」
大阪府教育基本条例案 作成者に聞く


        坂井良和 大阪市議 「維新の会」所属の大阪市議。元裁判官。66歳

 「国際競争に通用する人材を育てる」として、大阪府の橋下徹知事率いる大阪維新の会が、知事が教育目標を決め、現場を成果主義で競わせる「教育基本条例案」を府議会に提出している。成立すれば、政治的中立を原則としてきた戦後教育の大転換。影響は全国に波及しかねない。条例案がめざすものは何か。案を練った坂井良和・大阪市議(66)に聞いた。

―教育と政治が一体化した戦前の反省から「政治的中立」を原則としてきた制度のどこが悪いのか

 教育が過度に政治から切り離された結果、国民の意見を反映させることができなくなった。結局、現場を支配したのは文部官僚。典型がゆとり教育だ。失敗の責任の所在は不明のまま。教育を無責任な官僚から国民の手に取り戻すべきだ。

―条例案には、知事が教育目標を決めるとある。「国民の手に取り戻す」というより「政治家の手に取り戻す」ようにみえる

 政治家は選挙で支持を集めている。結果の是非は、選挙で判断を仰ぐ。

―前文で「グローバル社会に十分に対応できる人材育成」とうたう。エリート教育しか視野にないのか

 人格形成だけで人は生きてゆけない。急速に変化する国際社会で世界がどう進んでいるのか見極め、カリキュラムに反映させる。日本のような資源のない国は人材活用しかないのに「国内で仲良く」という育て方で競争力を失った。鍵は地方分権。各都市が政治家の責任で様々な試みをする。失敗も出るだろうが、画一教育で全国一斉に失敗するより道は開ける。

 各校に権限付与

―具体的な道筋は

 大きな目標は知事らが決めるが、各校が試行錯誤できるよう権限を下ろし、校長に人事権と予算要求権を与える。その代わり失敗したら引責で辞めてもらう。無責任な官僚支配より緊張感が生まれ活性化する。

―エリートだけでなく、多様な人間を育てるのも教育の役割では

 我々は教育の「複線化」を望む。人の能力差を認め、例えば義務教育を9年から7年にして、残りの2年間は勉強でもスポーツでも趣味でも、好きなものに没頭すればいい。いずれは飛び級も導入したい。人類の歴史を見れば、ずば抜けた人たちが新技術や思想を生んできた。これがないと国際競争を勝ち抜けない。

―教員の約5%に最低評価をつける相対評価など、露骨な競争主義に現場から反発が出ている。

 厳しさを求めるのは、ダメ教師がどの職場にもいて生徒を不幸にするからだ。努力したくない公務員の言い訳に耳を傾ける必要などない。数字が低ければ上げる努力を重ねるしかない。

 本人に結果責任

―試行錯誤を重ねるというが、失敗したら、巻き込まれた子はどうなるのか

 だからこそ自由に学校を選べる環境を整える。学区を撤廃し、学校選択制を導入し、学カテストの結果も学校別に公表する。そうすれば親と子が情報を元に学校を選べる。自分で選ぶのだから結果責任も自分でとる。文句ばかり言っていられなくなる。

―あなたの理想とする教育モデルは

 サッチャー改革。学カテストの結果公表や、教員評価への成果主義導入などで英国を再生させた。競争原理で切磋琢磨することが進歩につながる。世界の人材が集まる米シリコンバレーからも、何か一つ抜きん出ている人は成功し、平準化した人は成功しないと学んだ。日本にもそういう場所が必要だ。

―英国の改革は格差も拡大したといわれる。米国でもウォール街で失業中の若者らが抗議している

 私は格差を生んでよいと思っている。税制や社会保障など、格差是正の制度は別にある。まずは格差を受け入れてでも、秀でた者を育てる必要がある。


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