原発防災範囲 30キロに拡大 (NHK)

原発防災範囲 30キロに拡大
NHK
 11月1日 18時1分

 原子力事故に備えて防災対策を重点的に整備する地域について、国の原子力安全委員会の作業部会は、原発から最大で10キロ圏内としてきた範囲を、おおむね30キロまで広げる方針をまとめました。
原子力安全委員会の作業部会では、東京電力福島第一原発の事故を受けて、先月20日、これまで原発の8キロから10キロ圏内としてきた防災対策を重点的に整備する範囲について、新たな区域を設ける事務局案が示されています。1日の作業部会で、これまでの議論や、IAEA=国際原子力機関の基準などを踏まえた結果、新たに避難などの防護対策を整備する区域「UPZ=緊急時防護措置準備区域」をおおむね30キロに設定し、事故が起きた際に直ちに避難する「PAZ=予防的防護措置準備区域」を設けて、その範囲をおおむね5キロとする方針をまとめました。このほか甲状腺の被ばくを避けるためにヨウ素剤の服用などの対策を準備する範囲について、50キロを目安に、国が被ばくを避けるための防護措置を実施するとしています。委員からは「今後、新しい枠組みで、国や自治体などの具体的な役割を明確にする必要がある」などの意見が出されていました。30キロに広がることで、対象となる市町村の数はこれまでのおよそ3倍に増え、住民の避難やモニタリングなど実効性のある防災対策をいかに整備するかが大きな課題となります。

 原子力発電所の事故の防災対策を重点的に整備する地域をおおむね30キロに広げることを巡って、NHKが、30キロ圏内に入る周辺自治体に尋ねたところ、「電力会社との『安全協定』を新たに結びたい」と答えたのが60%余りに上り、今後、原子力政策や原発の運転について関わろうとする動きが増えてくることが予想されます。NHKでは、30キロ圏内にある道府県と市町村のうち、福島県内を除く142の自治体に先週、アンケート調査を行い、すべてから回答を得ました。自治体の内訳は、原発のある「立地」が29、その「周辺」が113となっています。まず、周辺自治体に対して事故時の通報や立ち入り調査などの根拠となる「電力会社との安全協定」について尋ねたところ、すでに結んでいる自治体を除くと、64%が「結びたい」と答えました。その理由については、「立地自治体とリスクを共有するなら、権限も共有してしかるべきだ」(出雲市)、「原発の運転再開の判断に関与したい」(七尾市)といった意見が寄せられました。また、近くの原発の運転再開について尋ねたところ、「再開を認める」または「いずれは認めたい」は、立地自治体では14%、周辺自治体では8%で、いずれも少数ですが、周辺が立地を下回りました。さらに、「脱原発」については、「早く進めたい」または「いずれは進めたい」が、立地自治体では14%だったのに対し、周辺自治体では38%で、立地以上に「脱原発」を望んでいることが分かります。

 自治体の行政や財政に詳しい北海道大学公共政策大学院の宮脇淳教授は「地方自治体の意見表明は、自治の面からも、防災の面からも必要不可欠で、今まで直接立地していなかった地域においても、原発と関与していく仕組みを作ろうという動きは今後増えてくると思う。一方で、原発によって受ける恩恵には、立地自治体と周辺自治体で違いや温度差があることも事実だ。それぞれの自治体がどこまで、運転再開などの最終決定に関わっていくのかは、非常に難しい課題になる」と話しています。そのうえで、宮脇教授は「地域内での調整だけでなく、次の新しいエネルギー行政の在り方などの具体的な姿を、国側も地方側も描き、ともに示していくことが必要だ」と指摘しています。

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